院長ブログ
脱腸
2007.10.15
鼠径(そけい)ヘルニアって聞くと「??」となるが、「脱腸」と聞くと「ふむふむ」とうなずく方は多いだろう。
そもそも「鼠径」とは、太ももの付け根の部分の事を言います。
そして「ヘルニア」とは、体の組織が正しい位置からはみ出した状態を言います。
鼠径ヘルニアは、お腹の中にある腸や脂肪の一部が、鼠径の部分で皮膚の下に出てくる病気です。
お腹の中の腸が出て来るので脱腸と呼ばれる事もあるわけですが、実際には腸管膜が一番多く見られます。
また、膀胱や子宮など他の臓器が飛び出している事もあります。
多くは鳴いた時や排便など、お腹に力が加わった時に大きくふくらみます。
症状が軽い場合は、腫れた部分を手で押さえると引っ込んでわからなくなる事があります。
このX線写真は、小腸?結腸がお腹の外に飛び出し、元に戻らなくなってしまった子です。
腫れはミカンくらいの大きさ…触ると中に紐状の腸が分かります。
早く元気になって、元の状態に戻れると良いですね!
怖い「かんとん状態」
腸が出たり入ったりしている場合は、軽い痛みや便秘が起きる程度です。
しかし、お腹の外に出た腸やその他の臓器が飛び出したままで、戻らない場合には「かんとん」と呼ばれ、脱出した腸への血液の流れが悪くなり、腸は壊死を起こし血便や下血が見られる様になり、緊急手術が必要となる事もあります。
この鼠径ヘルニア、なぜかポメラニアンに多いような気がするが…何でだろう?