若山動物病院ブログ
思わぬ居候・鉤虫
オシッコが詰まる猫ちゃんの「会陰尿道瘻術」を行うことになったのです。
急性の腎不全も解除!
手術前の血液検査もOK
ところが、ところが、ウンチ検査で厄介な生き物を発見!
なんと鉤虫の卵がいっぱいです。
ウンチの状態は良好、しかも屋内でしか生活していません。
つまり外に出たことは無いんです!
どこで感染したのでしょう??
鉤虫は昔は良く発見されましたが、今ではほとんど見ることができなくなってきた寄生虫です。
おそらく今年初、と言うくらい出会うことが少なくなった寄生虫です!
そんな鉤虫は「鈎・かぎ」のようなモノを頭に持ち、その鍵を腸に引っ掛けて血を吸いながら生きています。
鉤虫は主に小腸に寄生しますが、時たま結腸にも寄生することがあります。
この鉤虫の多くは、口からの感染と言われています!
しかも卵が孵化して子虫にならないと、感染しません。
つまりウンチが地面に落ち、そこで卵が孵化し感染力を持つ子虫の状態になったものが体の中に入ってくるのです。
と言うことは???
この猫ちゃんは、どこから感染したのでしょうね?
鉤虫は口から、いわゆる経口感染ばっかりとは限りません。
経皮感染と言い、感染力を持った子虫が皮膚から体内に入り込むこともあります。
皮膚から入った子虫は血液に乗り肝臓から心臓に運ばれ、肺にへと侵入し咳をすると口へと出てきて、胃から小腸に・・・・
厄介なことに、鉤虫は小腸では無い場所に住みついてしまうことがあるため完全に駆虫するためには何年もかかってしまうことがあります。
感染の経路は、それだけではありません!
妊娠時には母の胎盤からの感染、出産後は母の乳汁からの感染もあります。
とにかく、こんなに様々な感染経路があるんです!
そんな鉤虫ですが、大量の卵を産むためうんちの検査を行うことで割と発見しやすい寄生虫なんです。
しかも鉤虫の幼虫がヒトに感染することがあります!
ちなみこの子の手術は、鉤虫を駆虫した後に行うことになりました!