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若山動物病院ブログ

ジメジメと中毒

千葉県佐倉市の『若山動物病院』の千明です。

台風1号の影響で雨が降ったり止んだりとすっきりしないお天気が続いています。
そんな湿度が高くジメジメとした季節に庭先でよく見かけるようになるのがナメクジちゃんです。

ナメクジは巻貝の一種で、おろし金のような刃のある舌で農作物やお庭の草花などを食べてしまう害虫です。
冬から春にかけて繁殖して1度に20〜60個の卵を産むと言われ、梅雨の時季に一斉にふ化するため突然大量発生したように見えます。
ナメクジは乾燥を嫌うため昼間は日の当たらないジメジメとした場所で過ごして夜に活動します。
日本で見かけるのは大きくても5〜6cmほどですが、南アフリカでは体長20cmを超える巨大ナメクジもいるそうです。
ちなみにナメクジは生薬としても使われ、咽頭炎や喘息に効果があるそうです。


薬としても活躍するナメクジですが、やはり植物を荒らす害虫として多くの「ナメクジ駆除剤」が市販されています。
草木の間に撒くだけでナメクジをやっつけてくれる「ナメクジ駆除剤」ですが、ワンちゃん猫ちゃんにはとても怖い存在なんです!

ナメクジ駆除剤の主成分には「燐酸第二鉄」と「メタルアルデヒド」の2種類があり、「メタルアルデヒド」はワンちゃん猫ちゃんにとって重篤な中毒症状を起こす成分としても知られています。

「メタルアルデヒド」は胃腸からの吸収率が高く、摂取してしまうと1〜3時間以内に下記の症状が出始めます。

  • 嘔吐
  • 下痢
  • 流涎
  • 血圧下降
  • 頻脈
  • 高熱
  • チアノーゼ
  • けいれん
  • 運動失調
  • 過呼吸

中毒になってしまうと病院で処置をしても回復までにかなりの時間がかかり、最悪の場合は亡くなってしまうこともあります。


お家でナメクジ駆除剤を使う際はワンちゃん猫ちゃんへの影響が少ない「燐酸第二鉄」を使用するか、駆除剤を使わない方法で予防するのがオススメです。

予防その1:コーヒー

ナメクジはカフェインを嫌うためコーヒーかすを守りたい植物の10cmほど離れば場所に撒くと効果的です。
ただしカフェインには発芽抑制作用もあるため、根元に近すぎたり量が多すぎると植物の成長を阻害するので注意が必要です。

予防その2:銅線

ナメクジは銅を嫌う性質もあるため、プランターなどには銅線を巻きつけておくと予防になります。
最近では防虫用品としてテープ状に加工されている物も販売されています。

予防その3:ビール

実はナメクジはビールの匂いが大好き!
ビールを入れた容器をナメクジが多く出る場所に置いておくと、ビールの匂いに誘われて容器の中で酔いしれてしまうそうです。


大事に育てた植物を守るために使う駆除剤ですが、お家で一緒に暮らす小さな家族を守るためにも駆除剤の種類や使い方などには十分注意していきたいですね。