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血が超〜濃い!

血が超〜濃い!

脱水もしていないのに、ヘマトクリット値が異常に高い仔が居ます。

血液は赤血球、白血球、血小板、血漿という成分から成り立っています。
ヘマトクリットの「ヘマトとは血液」を「クリットとは分離」を意味し、血液中に赤血球が占める割合(%)を言います。

つまり「血液全体の中で赤血球が占める割合」を調べる検査、簡単に言えば血液の濃度を調べる検査で赤血球数と血色素量(ヘモグロビン濃度)とあわせて貧血の指標ともなります。

ヘマトクリット値が低い場合は「貧血」の可能性が疑われます。
逆に赤血球が異常に増えてしまうと、多血症(赤血球増加症)が疑われます。

多血症は貧血とは逆に赤血球が増える病気と言え、進行すると血液が濃くなり様々な症状が現れてきます。
ただ血液が濃くなるとは言っても、場合によっては重大な合併症を引き起こすこともある怖い病気です。

多血症の症状

ヒトであれば頭痛やメマイなどの自覚症状があるのですが、ワンちゃん猫ちゃんでは自覚症状があっても気がつきませんよね。
また無症状のこともあるため、健康診断などで見つかることが多々あると言うか、ほとんどです。

病的な多血症では顔や皮膚が赤くなったり、結膜の充血や手足が熱くなって痛んだり、脾臓が腫れて大きくなるなどの症状がみられます。

多血症には、相対的なものと絶対的なものがあります。

相対的多血症

赤血球の量は増えていない、しかし血液の液体成分が少なく赤血球が多くなっているように見える状態です。
このような状態になってしまう原因として考えられるのは、まず脱水です。
脱水は治療をすれば、その状態が緩和されれば正常値に戻ります。

絶対的多血症

絶対的多血症を起こす原因は、二つあります。
一つ目は骨髄の中の造血幹細胞の異常です。
二つ目は赤血球を作るホルモンのエリスロポエチンが増えてしまう場合です。
どちらの場合も、赤血球が異常に作られてしまいます。

エリスロポエチンが増える主な原因としては血液中の酸素が不足した状態、いわゆる「低酸素血症」や腎細胞がん、肝細胞がん、骨髄の腫瘍などがあります。

絶対的多血症では、瀉血(しゃけつ)と言う、治療などを行います。
瀉血とは血液を抜き取り、赤血球の数を減らす治療方法です。
血液を抜き取ることで、赤血球が増えることにより起こる障害などが改善されます。