若山動物病院ブログ
クロスマッチ試験
こんにちは。
千葉県佐倉市『若山動物病院』の松田です。
今回は、輸血をする際に行うクロスマッチ試験(交差適合試験)についてお話ししたいと思います。
クロスマッチ試験とは?
クロスマッチ試験は、簡単にいうと輸血前にお互いの血が適合可能なのかをチェックするものです。輸血は、命を救うための重要な手段ですが、血液を提供する側と輸血を受ける側の血液が合わない場合、危険な反応が起こってしまいます。そこで、クロスマッチ試験によって、輸血が安全に行えるかどうかを事前に確認する必要があります。
犬のクロスマッチ試験
犬の血液型は人間よりも複雑で、10種類以上の血液型があります。犬の場合、初回の輸血では抗体がまだ形成されていないことが多いため、異なる血液型であっても輸血が可能なことが多いです。しかし、2回目以降の輸血では、前回の輸血で体が抗体を作ってしまっていることがあり、それが原因で輸血が失敗してしまうことがあります。
猫のクロスマッチ試験
猫の場合、血液型はA型、B型、そしてまれなAB型の3種類に分類されます。猫は初回の輸血でも拒絶反応を起こすリスクが非常に高いです。特にB型の猫にA型の血液を輸血してしまうと、致命的な免疫反応が起こることがあります。そのため、猫の輸血では常にクロスマッチ試験が必要です。
クロスマッチ試験の流れ
まず、血液を提供する側と輸血を受ける側から血液を採取します。
次に遠心分離機を使用し、血液を血清と血球に分けます。
そして血液を受ける側と提供する側の血清と血球を用意し、検査を行っていきます。
クロスマッチ試験は、大きく主反応と副反応の2種類の反応を顕微鏡でチェックします。
• 主反応をチェック:輸血を受ける側の血清と、輸血提供側の赤血球を混ぜ、反応がないか確認します。受ける側が提供側の赤血球に対して抗体を持っていないかを調べる重要な試験です。
• 副反応をチェック:逆に、輸血提供側の血清と輸血を受ける側の赤血球を混ぜて反応を確認します。提供側の血清に受ける側の赤血球に対する抗体が含まれていないかどうかをチェックします。
この2つの検査をクリアすれば、輸血が比較的安全に行えると言えます。