若山動物病院ブログ
ロイスの脾臓摘出手術・1
病院犬のロイスの健康診断で、脾臓に腫瘍が見つかりました。
脾臓はお腹の中の左寄りの肋骨に近い部分で、胃や肝臓、腎臓、膵臓などの臓器と近い場所にあります。
脾臓も他の臓器と同じように腫瘍が出来ます。
もちろん「良性」のモノもありますが、「悪性」で周囲の臓器に広がりやすく命に関わるものがあります。
良性でも、大きくなって破裂してしまうこともあります。
良性か悪性かは腫瘍の部分を針で刺して細胞を採取して検査を行うのですが、ロイスの場合は脾臓を全部摘出して検査をすることにしました。
ちなみ脾臓を全摘出しても・・・
基本的には脾臓の機能は他の器官で代償できるものが多いため、日常生活にはあまり大きな影響はありません。
でも、そもそも脾臓って何をしているのでしょうね?
脾臓って肝臓や腎臓、また心臓などと違い、忘れられた存在になってるのではと思われます。
そこで脾臓の主な働きを説明します。
脾臓は血液や免疫に関した、とても重要な働きをしている臓器です。
古い赤血球の破壊とリサイクル
脾臓の主要な働きの一つは、古くなった赤血球の再利用です。
赤血球は体内の組織に酸素を運ぶ働きをしていますが、約120日ほどで寿命を迎えます。
寿命を迎えた赤血球は脾臓に運ばれ破壊され、鉄分などの成分が新しい赤血球を作るために再利用され血液中の鉄分が無駄なく利用されます。
免疫機能のサポート
脾臓の重要な働きは、免疫に関した部分です。
脾臓には免疫細胞のうちでも、特にリンパ球が大量に存在しています。
リンパ球は体内に侵入した病原菌やウイルスなどの異物を攻撃する働きをします。
脾臓に流れる血液の中に細菌やウイルスが含まれていると、脾臓はそれを感知を免疫細胞に知らせ免疫反応を引き起こし病気の発症を防ぎます。
また脾臓の中には「マクロファージ」と呼ばれる、異物や死んだ細胞を取り込んで処理する働きをする細胞が大量にあります。
脾臓の中のマクロファージや他の免疫細胞が血液中の異物や不必要な物質を取り除き、血液をきれいな状態を保つ働きをしています。
血液の貯蔵と供給
脾臓は「血液の貯蔵庫」としても機能し、急な出血や血液量の不足に対応するために大量の血液が蓄えられています。
もし大きな怪我などで早急に血液を必要とするような状態になった場合には、この血液が速やかに放出されます。
また脾臓は血液中の赤血球や血小板の量を調整する機能も持っており、体の血液バランスを維持し血液循環をサポートしています。
血小板の管理
血小板は出血を止める働きをする血液の成分ですが、脾臓は血小板の数を管理し過剰に増えすぎたり逆に不足したりしないように調整しています。
脾臓は血小板が正常に機能するための環境を作り出し、血小板を貯蔵し必要なときに体内に放出します。
脾臓は体内での血小板のバランスを保ち、出血や血栓を防ぎ血液の正常な流れを守っています。
ロイスの脾臓は病理検査に出され、腫瘍の確定診断待ちです!