若山動物病院ブログ
ロイスの脾臓摘出手術・3
脾臓に腫瘍ができやすい理由は、以下のような複数の要因によるものです。
脾臓は血液を濾過し古くなった赤血球を分解・除去したり、免疫系に関与する細胞が集まっているため感染症や炎症が繰り返されると、細胞の異常な増殖が引き起こされてしまいます。
また血液中の異常な細胞や病原体に常に対応しているため、脾臓の細胞は修復や再生が繰り返され、その結果遺伝的エラーが起こりやすく腫瘍形成のリスクが高まります。
これらの要因が組み合わさることで、脾臓は腫瘍が発生しやすい臓器の一つとされています。
そのため、脾臓摘出手術を行うことが多々あります。
脾臓腫瘍の種類と発症率
血管肉腫
血管の内側を覆う細胞から発生する悪性腫瘍で、脾臓にできる腫瘍の約50%を占めます。
悪性度が高く進行も非常に速く、周囲の臓器や組織、特に肺や肝臓に広がりやすい腫瘍です。
腫瘍が大きくなると破裂して出血し、急激な貧血やショック症状が見られることがあります。
リンパ腫
リンパ腫はリンパ球という免疫細胞が異常に増殖することでできる悪性腫瘍で、他のリンパ節や臓器にも影響を与えることが多いとされています。
脾臓の腫瘍全体の約**10-20%**を占めるとされています。
リンパ腫には進行の早い全身に広がることが多いタイプと、進行の遅いタイプがあります。
良性結節
良性結節は脾臓の細胞が集まってできる塊で、腫瘍ではなく、一般的には悪性化しません。
脾臓の腫瘍全体の20~30%を占めるとされています。
ゆっくりと成長し他の臓器に広がることはありませんが、時にはとても大きくなることがあります。
その他にも発症率は1~2%以下とされる繊維肉腫や、発症率は1%以下とされる平滑筋肉腫など稀な腫瘍もあります。
腫瘍は早期発見が大切です。
特に血管肉腫やリンパ腫は悪性度が高く、進行も速いため定期的な健康診断が重要になります