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若山動物病院ブログ

歯周病と慢性腎炎

本日も慢性腎不全となった猫ちゃんへの、幹細胞療法の相談がありました。
皆さん、結構切羽詰まった感じです。
その気持ちは良く理解できるのですが、実際には腎不全以外にも治療が必要な場合が多々あります。

猫の慢性腎不全は進行性であり、従来の治療法は症状の進行を遅らせることが主な目的でした。
しかし今では幹細胞を用いた再生医療が新たな治療法として行えるようになりました。

目次

腎不全における幹細胞療法の効果

簡単にまとめてみると以下のようになります。

腎臓機能の改善

機能が低下した腎細胞の再生が促され、腎臓の濾過機能が改善される可能性があります。

炎症の抑制

幹細胞の持つ 抗炎症作用により、腎臓の炎症を軽くし損傷を防ぐ効果が期待されます。

生活の質の向上

症状の軽減により食欲や活動性が向上し、生活の質が改善される可能性があります。 

ただ幹細胞療法の効果は、個体差や病状の進行度合いによって異なります。

では、その腎不全の治療以外にも必要な治療とは何でしょうか!
それは「歯周病」なんです。

歯周病と慢性腎炎は、それぞれ異なる部位に発生する病気です。
しかし、この二つの病気がお互いに関連していると指摘されています。

歯周病と慢性腎炎の関係

では歯周病と慢性腎炎の関係についての説明です。

歯周病とは?

歯周病は、歯を支える組織である歯茎や歯槽骨が破壊される病気です。
その主な原因は、歯周病菌など口の中に棲む細菌たちです。
また歯周病は口の中だけにとどまらず、血液を通じて全身に悪影響を及ぼします。

全身性の炎症

歯周病が進行すると、口の中で増えた細菌やその毒素が歯茎の血管から全身へと広がります。
この細菌や毒素が原因となり炎症が起こり、それが腎臓にも影響を与え腎臓の機能を低下させてしまいます。
また慢性腎炎となっている場合には、病状を悪化させてしまいます。

免疫応答の影響

歯周病が進むことで、体の免疫系が反応し炎症性物質が過剰に作られてしまいます。
これらの炎症性物質は血液を通じて腎臓に到達し、腎臓の細胞や組織にダメージを与えてしまいます。
慢性腎炎を起こしている場合には、病状をさらに悪化させてしまいます。

生活習慣との関連

歯周病と慢性腎炎の両方には、食生活などの共通のリスク因子があります。
そのため生活習慣が、両方の病気の発症や進行に関与していることがあります。

口の中のケアが腎臓も守る

状態にもよりますが、歯周病を治療することで腎臓の状態が多少なりとっも良くなる可能性があります。
そのためにも、口の中のケアを行い生活習慣を見直すことも重要です。
何事においても、健康管理の一環として口の中の健康管理が大切なんです!