若山動物病院ブログ
高齢犬の悪性がんへの統合医療の提案
毎日楽しく暮らしてたのに、突然の「悪性のがん」の宣告!
しかも高齢・・・
心臓も悪くて手術は麻酔のリスクが心配だし、抗がん剤は副作用が怖い・・・

手術や抗がん剤に頼らない治療って無いのかしら?
治療が辛いのは可哀想だし、見てられないの・・・
不安で不安で!
高齢で悪性がんと診断されたときから、飼い主さんの不安は膨れ上がっていきます。
何せ・・・
がんの3大治療方法は手術、抗がん剤、放射線療法ですから、飼い主さんの目の前は暗くなってしまいますよね!
しかし手術や抗がん剤を使わずに体に優しい方法で、がんと向き合う選択肢もあります。
その一つがビタミンC療法とケトジェニック療法など、自然療法を取り入れた統合医療なんです。
このように悪性のがんと診断された場合、体に優しい治療法を検討することも大切です。

統合医療って聞いたことないです・・
それって、どんな医療なんでしょう?

統合医療とは
がん治療や慢性疾患に罹った際に、従来の西洋医学と補完・代替療法を組み合わせて生活の質をUPさせることを目的と、個々の子に最適な治療を提供する医療のアプローチ方法です。

補完療法や代替療法ってのも、チョット聞いたことないです・・
それって、どんな治療方法なんでしょう?

補完療法とは、従来の西洋医学を補助する形で使われる治療法
代替療法とは、西洋医学に代わる独自の治療法の総称なんです。
統合医療では科学的根拠(エビデンス)がある補完・代替療法を西洋医学と組み合わせて治療効果を高めたり、副作用を軽くすることを目的とします。
今日来院したワンちゃんには、ビタミンC療法、ケトジェニック療法、そしてオリゴ糖入りヨーグルトなどを組み合わせた治療法を提案しました。

まずビタミンC療法ですが、ビタミンCの持つ抗酸化作用からがん細胞の活性を抑えていく治療方法です。また体の免疫力をサポートする効果もあり、高齢の犬でも比較的安全に実施できる治療法です。
ケトジェニック療法とオリゴ糖
ケトジェニック療法は食べ物の中の炭水化物をの量を制限し、脂質を主要なエネルギー源とする食事療法です。
実はがん細胞は糖分をエネルギーとして取り込み、大きく育って行きます。
そのため炭水化物を食べるのを減らし、グルコースの供給を抑えるこの方法はがん細胞の成長を間接的に抑える可能性があります。
高齢犬の場合、無理なく栄養バランスを整えながら実施することが大切です。
さらにプレバイオティクスやオリゴ糖入りヨーグルトを食べるのも良い方法です。
これらは腸内環境を整え善玉菌を増やす働きがあり、免疫力アップにつながります。

腸内環境は全身の健康と直結しているため、治療中の体調管理において重要な働きをします。
生活の質(QOL)を大切に
がんと向き合う治療では「がんを消すこと」だけが目的ではなく、できるだけ快適に過ごせることも重要だと思うのです。
ビタミンC療法とケトジェニック療法などの組み合わせは、高齢の犬でもカラダに負担が少なく生活の質を落とすことも少ない治療方法です。
高齢犬の悪性がん治療は決して容易ではありません。
しかしこれらの統合的な治療方法を試みることも、良い治療方法と思うのです。
皆さんは、どのように考えますか?
もしがんの治療方法についてご不安やご興味がある飼い主さんは、ぜひご相談下さい!
【参考記事】
がんの治療にビタミンCが使われる理由
高濃度ビタミンC療法
悪性リンパ腫に高濃度ビタミンC療法が
犬猫の高濃度ビタミンC療法を行なっています
これらの記事では高濃度ビタミンC療法など、がん治療に関する情報が書かれてます。
ぜひご参考になさってください。