若山動物病院ブログ
鼻の横が切れてるぞ
犬や猫のお鼻をよ〜く見て下さい。
「鼻の横が切れてる?」
「真ん中に溝がある?」
と気づいたことはありませんか?
実はこの切れ目のように見える部分には、ちゃんと名前と役割があるんです。
それが「鼻唇溝(びしんこう)」と「鼻翼切痕(びよくせっこん)」という構造なんです。
どちらも犬や猫ならではの、すご〜く大事な「嗅覚のヒミツ」が詰まった部分なんです。
鼻唇溝(びしんこう)ってなに?
鼻の真ん中から上唇に向かって、縦に溝が走ってます。
これが「鼻唇溝(フィルトラム)」です。
この溝にはニオイの分子をキャッチしてフェロモンを感じるための「鋤鼻器(じょびき)」へ運ぶ役割があります。
つまり・・・ただの飾りじゃなくて「においの通り道」なんです!
そしてこの溝、実はいつも湿っているのがポイント!
舌でペロッと舐めた唾液が毛細管現象で上にあがってくることで、ニオイの分子をキャッチしやすくなっているんです。

鼻翼切痕(びよくせっこん)ってなに?
鼻の横、鼻孔のちょっと外側にある小さな切れ目があります。
ここが「鼻翼切痕」です。
これ実は息を吸う道と、吐く道を分けるための工夫なんです!
犬や猫がにおいを嗅いでいるとき
- 吸う空気は鼻の正面から入る
- 吐く空気はこの横のスリットから出ていく
吐いた息で前にあるニオイを吹き飛ばさないようにできてるんです。
これって凄くないですか?
よくできてますよね!
ヒトにはないの?
ヒトにも上唇の真ん中に浅い溝「人中(じんちゅう)」がありますが、犬や猫のように匂いを運ぶ構造ではありません。
ヒトは視覚を重視する生活に進化したため、鼻唇溝も鼻翼切痕も退化してしまいました。
つまり犬や猫はニオイのプロとして、特別な鼻を今も持ち続けているんです!

おわりに
犬や猫の鼻の「切れ目」に見える構造は、じつはニオイをキャッチするためのすご〜い仕組みでした。
日常のちょっとした発見が、彼らの体の仕組みに興味をもつきっかけになれば嬉しいです。
もし鼻をクンクンしている姿を見たら、ちょっと注目してみてくださいね!