若山動物病院ブログ
猫の脳とカラダは超高速通信?
「猫って、どうしてあんなに素早く反応して動くことができるの?」
「オモチャを投げた瞬間、どっちに飛ぶか知ってるかのように、もう動いてる…!」
まるで先読みしているかのような反応に、驚くことがありませんか?
実は、それには猫の神経系と脳の構造に理由があるのからなです。
今回は、そんな猫の反応と動きを生み出す「神経の通信速度」の話です。
考える前に動いてる
猫はオモチャのチラッとした動きにも、反射的に飛びつきます。
これは単なる反射ではなく「視覚→脳→筋肉の連携が極めて速い」という、システムの凄さが理由なんです。
つまり外からの刺激を受け取ってから、行動を起こすまでの処理速度が異常に速いんです。

我々の神経系はヒトのネット通信で言う「超高速LAN回線」のようなものなんだよ!
猫の神経は超高速!
猫の神経細胞は太くて、情報の伝達スピードがとても速いのが特徴です。
さらに運動神経の「末梢神経」にはミエリン鞘という絶縁体がしっかりと巻きついており、これが電気信号の伝達スピードをさらに早くしています。
この構造により猫は:
- 動くものを0.1秒で追跡
- 着地の姿勢を空中で瞬時に調整
- 危険に対して一瞬で回避動作

つまりさ「瞬時に行動可能な技」を持っているからできる、動きなんだよね。
すごいでしょ??
ヒトとの違い!
ヒトは動くものを見てから「何かなぁ〜?」と考えてから、行動するなど反応します。
でも猫は違うんです。
見た=動く準備完了なんです。
脳の構造的に「視覚→運動皮質→筋肉」までの回路が短いため、伝達速度がメッチャ速いんです。
だから、あの「バッ」「シャキっ」とした動きというか瞬発力を生んでいるのです。

我々は、言ってみれば「考える前に動くことができる」んですよね。
小さいけれど賢い脳
猫の脳は体のサイズのわりにとても大きく、脳と体重の比率はヒトに近いとも言われます。
特に発達しているのが
小脳 ▶️ 運動のバランスと調整を司る
感覚 ▶️ ヒゲや毛からの微細な情報を処理
視覚 ▶️ 動くものに特化した情報処理が可能!

つまり猫の脳は、瞬時に動けるように特化した構造になっているののね。
ヒゲ・耳・眼は高性能センサー!
猫の「情報収集能力」も、とっても優れています。
その中でも凄いのは・・・
ヒゲ ▶️ わずかな空気の流れや物の接近を感知できる
耳 ▶️ 左右独立して動かし、1万分の1秒の音のズレを認識できる
眼 ▶️ 動体視力に優れ、わずかな動きも逃さない!
これらの情報収集センサーが捉えた情報は脳が一瞬で処理し、筋肉が即座に反応するようになっています。

この一連の流れが、我々の「異常なまでにも速い動き」ををつくっているのですよ!
睡眠中でもスタンバイ
猫は1日の大半を寝て過ごしますが、実はその多くは半覚醒状態と言われる浅い眠りなんです。
この状態でも脳は外部刺激に常にアンテナを張っており、危険や獲物の気配を察知すれば即行動することができます。
これは自分の身は自分で守らなくちゃならないという、単独行動していた野生時代の名残なんです。

寝ながらでも、瞬間的に戦えることができる「戦闘スリープモード」状態なんだよ!
■ 家でも見られる「超高速通信」の瞬間
こんな行動、見たことありませんか?
ものを投げる → 素早く落ちる場所にダッシュ!
ドアがわずかに開く → 一瞬ですり抜ける
足音 → 音の主を先読みして玄関へ
これらはすべて「脳と体の超高速通信システム」のなせるワザです。

反応が速いというよりは、「先を見越して行動している」と言っても良いかもだよね!
これはヒトに無理じゃん?
まとめ
猫の脳は「動きながら考える」ではなく「動いてから考える」という構造なんです。
しかも反応速度とバランス感覚は凄く、それは自然界で生き抜くために必要だったものなんです。
猫が眼にも留まらぬ速さで動く時「脳とカラダの間の神経に稲妻が走ったぞ」と想像してみてください。