若山動物病院ブログ
【キケンな感染症】命を落とす前に知って欲しいこと
2025年6月、あるニュースが獣医療界を震撼させました。
それは獣医師が「SFTS(重症熱性血小板減少症候群)」に感染し、亡くなったという報道でした。
SFTSって何?
そうですよね、SFTSという言葉を初めて耳にした方も多いとは思います。
でもこの感染症は私たちの暮らす、すぐそばに潜むウイルスから感染するんです!

では私たちの健康を守るために、知っておきたいSFTSについてのお話しましょうね。
SFTSって名前は難しいし症状も深刻
SFTSは「Severe Fever with Thrombocytopenia Syndrome」の略で、日本語では「重症熱性血小板減少症候群」と呼ばれます。
この感染症を発症させるウイルスに感染すると、その症状はとても深刻なものとなってしまいます。
【SFTSの症状】
- 突然の高熱(38℃以上)
- 血小板の減少による出血傾向(歯ぐきからの出血、内出血など)
- 嘔吐、下痢、倦怠感
- 重症化すれば意識障害、肝障害、腎不全
- 致死率は20~30%と非常に高い

このウイルスはマダニ”が媒介する感染症なんです。
そして2013年以降、日本でもヒトへの感染が報告されるようになった怖い病気です!
犬や猫にも関係ある
SFTSは、ヒトだけの病気ではありません。
犬や猫も感染し、さらに感染動物から人へと感染が広がるリスクがある病気です。
たとえば、
- 屋外で遊んできた猫がSFTSウイルスを持って帰ってきた
- 感染していた猫を保護し、手袋なしで処置をした
- 知らずに抱っこしていた子が感染動物だった
そんな状況から、飼い主さんや獣医師が感染した事例も報告されています。

先月SFTSに感染した猫を診察した獣医師が感染し、亡くなってしまったんです!
無症状キャリアであることも
猫はSFTSに感染しても、軽い発熱や食欲不振だけで回復してしまう場合もあります。
中には重症化する例もありますが、一見無症状である場合もあると言うことなんです。
だから厄介なんです。
つまり症状が出ないまま、飼い主さんなどヒトに感染させてしまうことがあるという点なんです。

私たちの身近にいる動物が、知らず知らずのうちにウイルスを持っている。
そんなリスクが現実にあるのです。
それって怖く無いですか?
SFTSから命を守る3つのポイント
① ノミ・マダニ予防は通年で徹底を
「冬だから大丈夫」は間違いです。
温暖化の影響でマダニは年間を通じて活動しています。
そのため、動物病院で処方される予防薬を毎月しっかり使うことが最大の防御です。
② 保護動物には手袋と冷静な対応を
やさしさだけでは守れない命があります。
保護した際には、直接カラダに触れないことです。
保護した後は、動物病院で検査を受けさせましょう。
③ 異変は早めの相談を
発熱、元気がない、食べないなど、どんな小さなことでも獣医師に相談してください。
その際には「外に出る」「他の動物と接触した」などの情報も必ず伝えましょう。

ポイントは三つ
・ノミ・マダニ予防は通年で徹底を
・ 保護動物には手袋と冷静な対応を
・何か気になることがあれば 相談を
私たちは知ることで、命を救える
獣医療の現場で動物と向き合っている獣医師が、SFTSで命を落とす。
これは決して他人事ではありません。
SFTSは、「知らなかった」では済まされないウイルスです。
でも逆に言えば、正しい知識と行動があれば、防げる感染症でもあります。
SFTSを知り、恐れすぎず、でも甘く見ずに暮らしていく。
それが、ペットとの健やかな毎日を守る第一歩です。
★今すぐチェック!
- マダニ予防薬、ちゃんと使ってる?
- 外に出る猫ちゃん、草むらに入るワンちゃんは要注意!
- 猫を保護した場合には、まず最初は手袋をしましょう!
何か気になることがあれば、ご相談ください
まとめ
SFTSは、マダニから感染する命に関わるウイルスです。
犬や猫が持ち込むリスクもあるため、一緒に暮らす場合には、しっかりと予防策を講じることが大切です。
また「SFTSがどんな感染症か知る」ことも重要です。