若山動物病院ブログ
食前?食後?薬はいつ飲ませる
私たちが薬を飲むときに「食前」「食後」と指示されることがあります。
それと同じように・・・
ワンちゃんや猫ちゃんに使う薬にも、飲むタイミングについて指示があることがあります。

動物なのに、時間にこだわるの?なんて、思っちゃダメ!
投薬のタイミングは、薬の効果を最大限に引き出すうえで重要なんだよ。
薬を与えるタイミングの意味
食前(食事の20~30分前)
胃腸の動きを促す薬や、吐き気止めなど、食べ物がない状態の方がよく吸収される薬の時に指示されます。
糖尿病薬など食後の血糖値上昇を抑える目的の薬も、食べる前にカラダの中に入っている必要があるため、食前に飲ませます。
食後(食べてから30分以内)
最も多いタイミングです。
痛み止めや抗生物質、腎不全の猫ちゃんに使うリン吸着剤などは、食事と一緒に与えることで吸収が安定します。
また胃への刺激などの副作用も、抑えることができます。
脂溶性の薬やビタミン剤も、食後の方がカラダに取り込みやすいです。
食間(食後2時間以上経過した空腹時)
「食事と食事の間」のことです。
「食事中」と思ってしまう飼い主さんもいますが、本当はお腹が空いている時間帯です。
胃粘膜を保護する薬や、一部の抗生物質など、食べ物に邪魔されずに効果を発揮するタイプの薬はこのタイミングで与えます。

ヒトの薬との違いに要注意
動物病院で処方される薬の中には、ヒト用の薬をワンちゃんや猫ちゃんに調整して使っているものもあります。
しかしヒトと動物では、カラダの仕組みが大きく違うため同じ薬でも効き方や安全性が変わります。
特に猫ちゃんでは肝臓で薬を分解する力が弱く、ヒトでは安全な薬でも中毒を起こすことがあります。

そうそうカロナールなどに含まれているアセトアミノフェンは、命にかかわる「毒」になっちゃう。
またヒトの薬に含まれる添加物や甘味料も、犬には危険なものがあります。
「少しなら大丈夫」だから安全とは思わないで下さいね。

キシリトールなんかが、そうだよ!
だからさ自己判断で、ヒト用の薬は使っちゃダメ。
ごはんと一緒でいいの?
基本的に、指示がない限りは食後の投与が最も安全です!
お腹が空いていると薬が胃を刺激しやすく、吐いてしまうこともあります。
ただし「この薬は空腹時でないと効果が出ない」などの理由で、あえて食前や食間が指示されることもあります。
その場合には、指示通りに与えて下さいね!
「ご飯を食べなかったけど薬はどうしよう?」
という時も、勝手に判断せずに必ず相談して下さいね。

まとめ
薬を与えるときに指示される時間には、ちゃんとした意味があります。
薬によっては、与えるタイミングを間違えると十分な効果が得られないこともあります。
また逆に、副作用が出てしまうこともあります。
「この子に今必要なのは何時にどの薬を、どのように与えるのがよいか」
もし疑問に思ったら、遠慮なく相談してください。
正しいタイミングで薬を与えることが、健康を守る第一歩です。