若山動物病院ブログ
大量と減少
千葉県佐倉市の『若山動物病院』の千明です。
「2日前から元気がない」という猫ちゃんが来院しました。
飼い主さんに詳細を伺い、問診をしながら猫ちゃんのケージを診察台の上へ。
一通り問診を終え、猫ちゃんの状態を確認するためにケージを開けると、そこにいたのは全身をノミに覆われてしまった猫ちゃんでした。

今までに見たことがないほどの大量のノミ。
ノミの多さにも驚きましたが、それよりも驚いたのが、この猫ちゃんがお外へ出ない室内飼育の猫ちゃんだということ。
ノミの生態
ノミは犬・猫に寄生してから10分以内に吸血を始め、24~48時間後には産卵を始めます。
卵は1~2日で孵化して、2〜4週間ほどで成虫になり、寿命は約1ヶ月です。
ノミの成虫は1日で約20~50個の卵を産むため、寿命の間に約500〜1200個の卵を産むことになります。
ノミは気温が13℃以上あれば繁殖可能なため、一度室内に侵入してしまえば一年中活動することができます。
気温が3℃以下であっても、さなぎや成虫であれば暖かな場所に隠れて生存することができます。
ちなみに、目に見えているノミの成虫は全体の5%しかおらず、残りの95%は未成熟期のノミだそうです。
つまり、ノミが一匹つくだけで1ヶ月後には1000を超える大量のノミになり、次から次へと体についてしまうのです。

これだけ大量にノミが寄生していると、ノミによる皮膚炎やアレルギー、条虫感染だけでなく、貧血も起こしてしまいます。
実際に、この猫ちゃんは重度の貧血に陥ってしまい、輸血の必要があるほどでした。

パッと見ただけでも、血が薄くなっているのかがわかりますよね。
ノミは体の表面にはついて見えなくても、生活範囲内で必ず活動している寄生虫です。
ノミに寄生されている犬や猫だけでなく、人への健康被害も出ています。
ノミの感染を防ぎ、病気にならないようにするためには、1年を通した定期的な予防が大切です。
健康で長生きするためにも予防はしっかりとおこなっていきましょう。