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ノミに寄生されて命の危機に!

ノミで重度の貧血に

「ノミなんて、ちょっと痒いだけでしょ?」
なんて思っていませんか?

実はノミが大量に寄生した場合、命に関わる深刻な事態となってしまうことがあります。
ノミの被害により、ヘマトクリットが6%にまで落ちてしまった猫ちゃんがいます。
しかも屋外に出たこともなく、家の中でのみ暮らしていた子なんです・・・

ノミが起こす重度の貧血

ノミは動物の血を吸って生きています。
数匹程度の寄生であれば、健康な成猫では大きな影響を受けません。
しかし大量のノミに寄生されると、割と短期間で大量の血液を失ってしまいます。
ノミ1匹が血を吸う量が少なくても、数が多いと大変な量になってしまいます!

ヘマトクリット(Ht)とは?

ヘマトクリットは血液検査で測定される項目の一つで、血液中の赤血球の容積の割合をパーセント (%) で表したものです。
猫では30~45%程度が正常範囲と言われれいます。

今回のケースでは、この値が6%までになってしまった極めて危険な状態でした。
これは血液のほとんどが失われたことを意味しており、呼吸困難や意識障害を起こす可能性があります。

症状の特徴

ノミ大量寄生による貧血では、以下のような症状が見られます。

  • 元気がなく動かない
  • 食欲低下
  • 呼吸が速く苦しそう
  • 歯茎や耳の内側が白っぽい
  • 被毛の間に多数のノミや黒いウンチ

特に子猫や高齢猫・慢性の病気を持つ猫ちゃんは抵抗力も低く、短期間で危険な状態に陥ってしまいます。

治療と対応

重度の貧血の場合には、今回のように緊急輸血が必要になることがあります。
同時に、ノミの駆除と再寄生の予防も行います。

ただ体力が極端に落ちている猫ちゃに強力な駆虫薬を急に使うと、カラダへの負担が大きい場合があります。
そのため、体調に合わせた段階的な治療が重要となります。

予防が最大の対策

ノミ被害による貧血は、予防によってほぼ確実に防ぐことができます。

  • 月1回のノミ駆除薬の投与
  • 室内飼育の徹底
  • 新しく猫を迎える際は事前に駆除
  • 定期的なブラッシングと被毛チェック

特に春から秋にかけては、ノミが活発に活動する時期です。
また冬でも暖房の効いた室内では生き延びることもあるため、一年を通して予防を行うのが安心です。

まとめ

ノミは「痒み」の原因になるだけでなく、命を奪うほどの被害をもたらす危険な寄生虫です。
今回のようにヘマトクリットが7%まで下がるケースは、まさに生命の危機です。
猫ちゃんを守るために、日常的な予防と早期発見を心がけましょう。