若山動物病院ブログ
猫と犬の座り方の違い
同じ4本足で歩く動物である、猫と犬・・・
でも座り方を、よ〜く見ると大きな違いがあります。
- 【猫】 前足に重心を置き背中を丸めて前屈みになり、後ろ足を前足の方に引き付け座る
- 【犬】 お尻を落とし後ろ足に重心を預け、前足を後ろ足の方に引きつけ座る。
このように座る時に、猫は前足に犬は後ろ足に体重をかけます。
しかしなぜ、このような違いが生まれたのでしょう?
目次
猫が前足に体を移す理由

猫の座り方を、解剖学的に説明します!
柔軟な背骨と「前傾姿勢」
猫の背骨はとても柔らかく、カラダを丸めやすい構造になっています。
座るときにも自然に前足に重心をかけます。
これは、すぐに立ち上がって飛びかかれる「狩猟準備の姿勢」をとることによるとされています。
後ろ足のたたみ方
猫の股関節と膝関節は深く曲がり、後ろ足をカラダの下に引き込みきれいに畳み込むことができます。
これにより上半身が前に寄り、前足でカラダ支える姿勢が安定します。
筋肉の働き
- 大腿四頭筋・ハムストリングス ▶️ 強く収縮してジャンプの準備。
- 腹筋群 ▶️ 背中を丸め、前傾をサポート。
- 前肢屈筋群 ▶️ カラダを前方に支え、いつでも動き出せる状態に。
猫は「座る=待機する」動物なのです。
犬が後ろ足に体を移す理由

犬の座り方を、解剖学的に説明します!
安定を重視した体構造
犬は猫よりも背骨の柔軟性が低く、直立的な姿勢を保つという特徴があります。
座るときは腰を落として、お尻と後ろ足でどっしり安定するのが基本です。
骨盤の角度と重心の後方移動
犬の骨盤はやや後傾しており、大腿骨を体の真下に畳むよりも後方へ折る方が自然。
そのため、重心は後ろに移動します。
筋肉の働き
- 大殿筋・ハムストリングス ▶️ 腰を落とし安定させる。
- 脊柱起立筋 ▶️ 背を伸ばし、姿勢を保つ。
- 前肢筋群 ▶️ 立ち上がりの補助。
犬にとって「座る=休む・待つ」。
つまり、リラックスや安定のための姿勢なのです。
解剖学的な違いを比較
骨格構造
- 【猫】 背骨がしなやか、骨盤が立ち気味 ▶️ 前傾姿勢。
- 【犬】 背骨は直線的、骨盤は後傾 ▶️ 後傾姿勢。
関節の可動域
- 【猫】 股関節・膝が深く曲がり、後肢をカラダの下に畳み込める。
- 【犬】 可動域が狭く、後方に折り畳むのが自然。
筋肉の使い方
- 【猫】 瞬発力とジャンプのための「待機型」。
- 【犬】 安定と休息のための「休憩型」。
進化の背景から見る座り方
- 【猫】 単独ハンター。獲物を狙い、瞬間的に飛び出せるように備える必要がある ▶️ 前足に体重がかかる。
- 【犬】 群れで生活する動物。仲間と協力するためめ休む時間が多い ▶️ 後ろ足に体重がかかる。
この違いは、進化の過程で刻まれた「生き方の差」とも言えます。
日常での観察ポイント
猫の場合
- お尻を床に落とし、前足に重心 ▶️ 獲物を狙う準備。
- リラックスしていても「すぐ動ける」体制。
犬の場合
- お尻をどっしり床に落とし、背筋を伸ばす ▶️ 安定・休憩モード。
- 前傾するのは「警戒」や「遊びたい」サイン。
まとめ
- 【猫】 は「狩猟スタンバイ型」:前足重心で、いつでも飛びかかれる。
- 【犬】 は「安定休憩型」:後ろ足とお尻で支え、どっしり座る。
同じ「座る」という行動でも、その背景にある解剖学・進化・生活様式の違いによって対照的になってしまったのです。