若山動物病院ブログ
水たまりにご用心!犬のレプトスピラ症
「レプトスピラ症」という病気を聞いたことがありますか?
耳慣れないかもしれませんが、犬にとって命に関わるとても危険な感染症です。
しかもヒトにも感染する可能性がある「人獣共通感染症」のひとつです。
そんな感染症を、現在スタッフの皆で頑張って治療しています!
飼い主さんに知ってほしいレプトスピラ症
飼い主さんに、ぜひ知っておいていただきたい「レプトスピラ症」についての話です。
レプトスピラ症とは?
レプトスピラ症は、レプトスピラという細菌によって起こる病気です。
自然界ではネズミや野生動物が保菌しており、尿とともに菌がバラまかれます。
その尿が水たまりや土壌を汚染し、そこに犬が触れることで感染します。
特に夏~秋の雨が多い季節や、水辺・湿地での散歩が多い犬にリスクがあります。
犬が感染するとどうなるの?
症状はとても幅広いのですが、代表的なものは以下の通りです。
- 発熱・元気消失:「なんとなくぐったりしている」から始まることが多いです。
- 黄疸:眼の白い部分や皮膚が黄色くなる。肝臓が障害されているサインです。
- 腎障害:尿が少なくなる、出なくなる。急激に悪化すると命の危険に直結します。
- 嘔吐・下痢・食欲不振:消化器症状もよく見られます。
- 出血傾向:歯ぐきからの出血、血尿、皮下出血などが見られることがあります。
軽い症状だけで回復する犬もいれば、数日のうちに急変して亡くなってしまうこともある、とても怖い病気です。
人にも感染するって本当?
レプトスピラ症は「人獣共通感染症」で、ヒトも犬と同じように感染します。
感染経路は・・・
主に尿や血液に触れ、眼・口・鼻の粘膜や傷のある皮膚から体内に入ります。
ヒトの場合は・・・
発熱・頭痛・筋肉痛・黄疸・腎障害などが出現し、重症化するとやはり命に関わります。
そのためレプトスピラ症が疑われる犬を扱うときには、とても注意が必要です。
我々獣医師や看護師は、予防衣・マスク・手袋・ゴーグルを着用して治療を行なっています。
チョット前にヒトの世界では新型コロナウィルス感染症が流行りましたが、その時の病院の様子のような感じです。
もちろん入院は、隔離室です!
どうやって診断するの?
動物病院では、血液検査や尿検査で肝臓・腎臓などの状態をチェックします。
また抗体検査やPCR検査、遺伝子検査などが行われます。
しかし結果が出るまでに時間がかかることがあります、
そのため症状や生活環境から「レプトスピラが疑われる」と判断した時点で、治療を始めることが多いです。
治療は?
治療は抗菌薬+輸液などの集中管理が基本となります。
- 急性期:ペニシリン系やアンピシリンで菌血症を抑える
- 継続治療:ドキシサイクリンで尿中の排菌を止める
- 輸液や利尿剤で腎臓を守る
- 貧血や出血が強ければ輸血も必要
重度の腎障害が起きると、腹膜透析や血液透析といった高度な医療を行うこともあります。
6. 予防できるの?
はい、予防方法があります。
それは ワクチン接種です。
犬用ワクチンの中には「レプトスピラ」が含まれているものがあり、代表的な血清型に対して予防効果があります。
ただしレプトスピラには多数の血清型があり、ワクチンで全てを防げるわけではありません。
それでもリスクの高い地域で暮らす犬、河川敷や水辺に行くことが多い犬は、ワクチン接種しておくことが重要です。
飼い主さんができること
- 雨上がりや水たまりの多い場所での散歩は避ける
- ネズミの多い場所には近づけない
- ワクチン接種を行う
- 排泄物を処理するときは必ず手袋を使い、よく手を洗う
まとめ
レプトスピラ症は、犬にとってもヒトにとっても命に関わる危険な病気です。
暑い時期だと「夏バテかな?」と思っていたら、急に黄疸や腎不全から数日のうちに亡くなることもあります。
しかし早めに気づいて治療を始めれば、助かる可能性もあります。
ワクチンや生活環境への配慮 によって、感染のリスクを下げることができます。
大切な家族を守るためにも、ぜひこの病気のことを知っておいてください。