若山動物病院ブログ
1.猫の尿道閉塞の原因
猫ちゃんを飼っているいる方なら、オシッコのトラブルの話しを聞いたことがあると思います。
また実際に経験したこともある飼い主さんもいらっしゃいます。
「トイレの回数が増えた」
「オシッコがチョットしか出ない」
「なんだか苦しそう」
そんなときに注意しなければいけないのが『尿道閉塞』です。
尿道閉塞とはオシッコの通り道、いわゆる尿道に何らかのトラブルが起きてしまいオシッコが出なくなる状態です。
特にオスに多く、そのままの状態にしておくと腎臓が壊れ命にも関わる緊急の状態です。
今回は。その「猫の尿道閉塞の原因」と「原因で発症する割合」の話です。
尿道閉塞の原因とその割合
猫ちゃんは、オシッコのトラブルが結構多いものです。

オシッコのトラブルの原因は「尿石」と思っていたんだけど・・・
実際には、チョット違うんですって!!
尿道栓子(60~70%)
猫ちゃんの尿道閉塞の原因で、最も多いと言われるのが「尿道栓子(にょうどうせんし)」です。
オシッコの中に含まれる粘液や細胞のカスや結晶が混ざり合ってゼリーのようになり、尿道に詰まってしまいます。

実際に当院でも・・・
若いオス猫ちゃんが「何度もトイレに行くのに出ない」と来院され、検査するとこの尿道栓子が原因だったという場合がよくあります。
尿石(10~20%)
次に多いのが尿石、 膀胱や尿道にできた結石が尿道をふさいでしまいます。
結石には「ストルバイト」や「シュウ酸カルシウム」などがあり、それぞれ原因や治療法も少し違います。
尿石は再発しやすく手術したり、食事管理や定期的な検査を行う必要があります。
尿道のケイレン(10~15%)
意外と多いのが尿道のケイレンによる閉塞です。
これは結晶や石がなくても尿道がケイレンしてオシッコの通り道を細くしてしまうものです。
原因としてはストレスや膀胱炎が引き金になることがあります。
尿検査では「異常も何も出てこない」のにオシッコが出ない場合には、このケイレンが原因として考えられます。

そんなことでオシッコの通り道が、細くなってしまうなんて?
知らなかったわ・・・
腫瘍や尿道の狭窄(1~5%未満)
高齢の猫ちゃんで注意が必要なのが、尿道や膀胱の 腫瘍です。
また炎症や外傷のあとに起きる、尿道の狭窄です。
頻度は少ないものの治療が難しい場合があります。
5. 血のかたまり(数%)
膀胱炎などで出血すると、その血が固まって尿道に詰まってしまうこともあります。
このような状況になるのは比較的まれとは言いますが、その可能性はゼロではありません。
尿道閉塞の怖いところは、放っておくと数時間~1日程度で命に関わる危険があるという点です。
尿道閉塞は「時間との勝負」
オシッコがチャント出ないと腎臓だけでなく、尿毒症から全身にダメージを与えてしまいます。
注意しなくてはならないサインは次のようなものです。
- オシッコが少ししか出ない
- 全く出ない
- トイレに長い時間入ってる
- トイレで苦しそうに鳴く
- 元気がなく、吐く
これらが見られたら、すぐに治療を行う必要があります。
そのため動物病院へ連れていくことが大切です。
まとめ
猫の尿道閉塞の原因はさまざまですが、割合としては以下の通りです。
- 尿道栓子:60~70%
- 尿石:10~20%
- 尿道のケイレン:10~15%
- 腫瘍や狭窄:1~5%未満
- 血のかたまり:数%
尿道閉塞の原因の大部分は「尿道栓子」と「尿石」です。
尿道閉塞はとても危険ですが、原因を知っておくことで予防や早期発見につながります。
「なんだかトイレでの様子がおかしいな?」と思ったら、迷わず相談してくださいね。