若山動物病院ブログ
水は命の栄養素
人も犬も猫もカラダの約60~70%は水でできており、水は生きていくために重要な栄養素です。
そんな大切な水が足りなくなると、体のあちこちでトラブルが起きてしまいます。
血液がドロドロに、臓器への負担が増える
体内の水分が減ると血液がドロドロと濃くなり、流れが悪くなります。
その結果、心臓は血液を送り出そうと頑張って働かなくてはならなくなります。
そうなると心臓の負担が増えるだけでなく、全身に酸素や栄養が届きにくくなります。

酸素や栄養が届きにくくなると、カラダ中の臓器の働きが悪くなってしまいます。
そうなると、様々なトラブルが起きてきます。
脳の働きが鈍くなる
脳の70%以上は水分でできています。
脱水が進むと判断力が落ちたり、ぼんやりした様子が見られます。
また脱水が重度になると、ケイレンや意識障害を起こすこともあります。
腎臓が老廃物処理をできなくなる
腎臓は血液をろ過して不要なものをオシッコとして排出しています。
でも、水が足りないとこのろ過装置が詰まってしまい、
老廃物が体内に残ってしまいます。
その結果、腎不全や尿トラブルのリスクが高まります。
体温調節ができない
犬は「ハアハア」と口を開けて体温を下げますが、水分が足りないと冷やすための唾液や汗(蒸発熱)が出せません。
そのため、熱中症になりやすくなるのです。
猫も高温時にうまく体温を下げられず、ぐったりしてしまうことがあります。
消化・排泄のトラブル
水分が不足すると唾液が減り、食欲が落ちてしまいます。
胃酸が濃くなって胃炎を起こしたり、腸の動きが悪くなって便秘にも。
猫ではウンチ便が硬くなり、トイレで苦しそうにすることもあります。
細胞レベルでも異常が
細胞の中にも水があります。
水が減ると細胞がしぼみ、代謝反応(エネルギーや酵素反応)が鈍ります。
つまり、どんなに栄養を摂っても吸収・利用できなくなるのです。
まとめ
水はエネルギーを生まないけれど、体を動かし、生かすための「第6の栄養素」です。
ほんの少しの脱水でも、体は「異常事態」になります。
普段からお水を置いておくだけでなく、飲む量・飲み方を観察することが大切です。
【猫のワンポイントアドバイス】
健康な成猫が1日に必要とする水分量は、体重1kgあたり約40~60mLが目安となります。
そのため一般には体重4~5kgの猫が必要とする水分量は、1日約200mL前後となります。
フードの中に含まれる水分の量により左右されるため、その点を考慮する必要があります!