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ストレスで血糖値が上がる?

ストレス性高血糖

健康診断で血液検査を受けたとき「血糖値が少し高いですね」と言われたけど「うちの子、糖尿病なの!?」
なんか不安になっちゃって・・・

そうですよね、不安になりますよね。
でも、必ずしも糖尿病とは限りません。
血糖値が上がったのは、もしかすると「ストレスハイパーグリセミア」かもしれません。

目次

ストレスハイパーグリセミアとは?

ストレスハイパーグリセミアとは「ストレス性高血糖」とも言われています。
つまり糖尿病ではないのに、緊張や恐怖などのストレスによって一時的に血糖値が上がる現象です。

慣れない場所、におい、音、雷や地震・・・
これらが「怖い」「不安」と感じられるだけで、体の中では次のような反応が起こります。

  • 交感神経が刺激されてアドレナリンが分泌される
  • 副腎からストレスホルモンである「コルチゾール」が出る
  • 肝臓がブドウ糖を放出して血糖値が上げる
  • 同時に血糖を下げるホルモンである「インスリン」の働きが抑えられる

カラダは「戦うか逃げるか」という緊急非常事態モードとなります。
その時にカラダは即行動できるように、エネルギー源である糖を血中に放出します!

猫では特に起こりやすい!

ストレスハイパーグリセミア(ストレス性高血糖)は、犬よりも猫によく見られます。
動物病院での処置や採血の際にも、見られることがあります。

とにかく、猫は環境の変化にとても敏感なんです。
そのために何かあると、血糖値が 150~250 mg/dL 以上にも跳ね上がることも珍しくありません。
しかも血糖値が高くなるとオシッコに糖が出ることもあり、それが糖尿病と間違われることもあります。

糖尿病との見分け方

一時的なストレスで血糖値が高くなるのか、それとも本当の糖尿病なのかを見極めるには検査や観察が必要です。

動物病院では、再検査や「フルクトサミン」という過去2~3週間の平均血糖値を調べる検査を行います。
これにより糖尿病であるかないかを、より正確に診断することができます。

項目ストレスハイパーグリセミア糖尿病
原因緊張・恐怖・痛みなどの一時的ストレス インスリン不足や抵抗性
持続時間 数時間~半日で元に戻る長期間続く
尿糖 なし~軽度はっきり陽性
フルクトサミン値正常高値
症状特になし多飲・多尿・体重減少
糖尿病との見分け方

対応と注意点

ストレスハイパーグリセミア(ストレス性高血糖)そのものは、病気ではありません。
そのため治療を必要とすることはほとんどなく、「一時的な反応」であると思っていただいても大丈夫です。
ただし、次のような場合は注意が必要です。

  • 血糖値が高い状態が長期間である
  • 多飲多尿が続く
  • 食べているのに体重が減る
  • 尿検査で何度も糖が出る

これらが見られるときは、糖尿病や他の内分泌疾患(副腎・膵臓など)を疑います。
そのため、再検査や追加検査を行います。

ストレスを減らすためにできること

猫や犬がストレスを感じにくくするために、飼い主さんができる工夫もあります。

  • 病院へ行く前にキャリーをリビングに出して慣らす
  • 移動時は布で覆い、外の刺激を減らす
  • 待合室では静かな場所を選ぶ
  • 病院に好きなおやつを持参して気をそらす
  • フェリウェイなど猫フェロモンスプレーを使う

フェリウェイは、待合室や診察室などで「拡散タイプ」と「スプレータイプ」のものが使われてます。

まとめ

ストレスハイパーグリセミアは「緊張などで血糖が上がる」という自然な防御反応です。
ほとんどの場合、時間が経てば正常に戻ります。
大切なのは、一度の検査結果だけで糖尿病と判断しないことです。
不安なときは血糖値の再検査やフルクトサミン検査で、確認しましょうね!

「うちの子の血糖値が高い…」そんなときこそ、慌てずにもう一度落ち着いて検査をしてみましょう。
緊張や不安が原因のこともあります。
できるだけストレスの少ない方法を、一緒に考えていきましょう。