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若山動物病院ブログ

オシッコに糖が・・

糖尿病

尿検査で「オシッコに糖が出てますヨ」と言われたけれど・・・
それって糖尿病かと思ったら、違うんですって。
なんか不思議な結果なのよねぇ〜

オシッコに糖が出てても「糖尿病」ではなく、腎臓の働きが原因でオシッコに糖が出ることがあります。

今回はそんな「尿糖があるけど糖尿病ではない」不思議な状態についてお話しします。

目次

尿に糖が出るってどういうこと?

腎臓は、血液をろ過して老廃物をオシッコとして体の外に出す働きをしています。
このとき糖も一緒に一度“ろ過”されますが、体に必要なエネルギーなので
ふたたび尿細管という部分で血液に戻されます(再吸収)。

つまり健康な腎臓であれば、糖は体外に出ることはありません。

オシッコの中に糖が漏れ出してしまうような状態が、次のような場合に見られます。
・血糖値が高すぎるような場合(=糖尿病)
・腎臓の再吸収の働きに異常がある場合

血糖値もフルクトサミンも正常

血糖値やフルクトサミンが正常であれば、「糖尿病」は否定されます。
それでも尿糖が出る場合に考えられるものに 「腎性糖尿」があります。

腎性糖尿とは?

腎臓の中の「近位尿細管」という部分が糖を再吸収、つまりオシッコの中に出た糖を血液中に戻す働きをしています。
しかしその働きにトラブルが起こると、糖の再吸収ができずにオシッコの中に糖が残ってしまいます。

これは糖尿病のような血糖のコントロールの問題ではなく、腎臓の構造や機能の問題で起きこります。

結石にも注意!

オシッコの中に糖が混じると、膀胱の中は細菌がとても繁殖しやすい状態となります。
その結果、膀胱炎が起こりやすくなります。
また炎症が長く続くと、膀胱結石ができやすくなってしまいます。

治療・対策の考え方

腎性糖尿だけで他に症状もなく体調にも問題がなければ経過観察となり、特別な治療を行わないこともあります。
しかし膀胱炎や結石がある場合は、注意が必要です。
また再発を防ぐために以下のような対応が行われます。

主な治療

1. 細菌感染がある場合には抗生剤を使います
2. 結石がある場合には、結石の種類に合わせてオシッコのpHを調整します
3. 結石を溶かしたり再発を防止するフードを使います
4. オシッコを薄めて細菌の繁殖や結石ができるのを防ぐために、水を飲ませる工夫をします

飼い主さんができること

水をよく飲めるように工夫をする
 → 自動給水器を使ったり、ぬるま湯を好む子には温度調整を。

トイレの様子を観察する
 → 回数、色、においの変化をチェック。

定期的に尿検査を受ける
 → 再発や進行のサインを見逃さないために重要です。

まとめ

「オシッコに糖が出た」と聞くと、糖尿病を疑いがちです。
でも、今回のように 腎臓の再吸収の異常が原因 で起きることもあります。
大切なのは、「何が原因で尿糖が出ているのか」を正しく見極めることです。
そして膀胱炎や結石の予防をしながら、腎臓の健康を守っていくことです。
気になる症状や検査結果があったら、相談してくださいね。