若山動物病院ブログ
どうして「特発性」と言えるの?

この子の膀胱炎、どうして「特発性膀胱炎(とくはつせいぼうこうえん)」なんでしょう?
普通の膀胱炎と症状が全く同じに見えるのに・・・
違いを教えて下さい!
そんな質問がありましたので、そこを詳しく説明しましょう!
原因がないのではなく、危ない原因を除外
膀胱炎というと「細菌が入ったのかな?」「抗生物質が必要?」と考える方が多いと思います。
実際にヒトの膀胱炎では、細菌感染が原因のことがよくあります。
ところが猫では・・・
トイレに何度も行く、痛そう、血尿など、ヒトの膀胱炎と同じような症状でも細菌感染ではない場合があります。
それが「特発性膀胱炎と言われるものです。

ただ「特発性」と言われると、なんだかモヤモヤっとしますよね?
「原因がわからないってこと?」
「放っておくしかないの?」
そう不安になる方もいます。
でも特発性の診断はあいまいなものではなく、手順をきちんと踏んだ結果なんです。
他の原因が見つからないという意味
特発性=原因不明、と言われがちです。
しかし正確には・・・
「検査で特定の原因が否定できた結果、最も可能性が高いタイプ」ということです。
つまり「適当にそう呼んでいる」のではなく、危ない原因を順番に除外し診断した結果なんです。

これを医療では「除外診断」と呼びます。
除外診断をもっと説明すると・・・
似た症状を引き起こす複数の病気の可能性を、診察や検査によって一つずつ否定していくことで、最終的な病名を特定する診断方法を言います。
膀胱炎の症状があったら最初の確認は

猫の膀胱トラブルで、最も大切なことがあります。
それは「膀胱炎かどうか」より先に「オシッコがちゃんと出ているか」なんです。
特にオス猫は尿道が細く、炎症や結晶などで尿道が詰まることがあります。
もしオシッコが出ない状態が続くとカラダに毒素がたまり、命に関わることもあります。
以下のような場合には、すぐ受診が必要です。
- トイレに何度も行くのに、ほとんど出ない
- うずくまる、元気がない、吐く
- お腹が張って苦しそう
- トイレで叫ぶように鳴く
まずは、この点の確認が第一に行うことです。
「細菌感染」を見極めます。

膀胱炎といえば細菌感染と思いがちです。
しかし猫では、感染が原因ではない膀胱炎が結構多いんです。
ただ全部が全部、感染では無いというわけではありません!
尿検査では、以下のことを確認します!
- 白血球(好中球)が増えているか
- 細菌っぽいものが見えるか

ここで大事なのは、顕微鏡で菌が見えた=感染確定ではない、ということです。
オシッコを採取する際に、皮膚や外陰部の菌がわずかに混ざることもあります・
特にオシッコをしたものを採取した場合には、そのような結果が起こりやすいんです。
だからこそ、より確実に判断するために行うのがオシッコの培養検査です。
オシッコを直接膀胱から採取し培養します。
そして「本当に膀胱の中で細菌が増えているか」を確かめます。
もし培養で陰性なら、細菌感染の可能性はかなり低いと判断できます。
「結晶や結石」がないかチェック

猫の膀胱炎症状の原因には、尿の中の結晶や結石が関わることもあります。
結晶や結石がある場合は、治療方針が変わることがあります。
ここも大切な確認ポイントです。
- 尿検査で結晶が出ていないか
- エコーやレントゲンで結石がないか
- 膀胱の中に砂がたまっていないか
このような形のある原因が見当たらないときには、特発性の可能性が上がります。
腫瘍などが隠れていないか確認

頻尿や血尿が続くと心配になるのが「腫瘍?」です。
ただ猫では犬ほど膀胱腫瘍は多くは見られませんが、全く無いとは言えません!
ここではエコー検査をおこない確認します。
- 膀胱の壁の不自然な厚み
- しこり(腫瘤)
- 形の乱れ
ここで異常がなければ「重大な病気の可能性は低い」と判断できます。
特発性らしい経過と合うか確認
検査で危ない原因が見当たらず、症状のパターンも
- 突然起こる
- 数日~1週間で波がある
- 環境変化や緊張がきっかけになりやすい
- 再発することがある
このようなと特徴に合うとき、特発性膀胱炎として診断します。

特発性膀胱炎は繰り返すことがありますが、見方を変えるとこうなります。
- 尿道閉塞など命に関わる原因は、まず否定できている
- 結石や腫瘍など、治療が大きく変わる病気の可能性が低い
- 対策の中心が「暮らしの整え方」なので、飼い主さんが主役になれる
- 水分摂取やトイレ環境の工夫で再発が減ることが多い
つまり「何もできない病気」ではなく、飼い主さんがコントロールしていける病気なんです。
まとめ
猫の特発性膀胱炎は「原因がわからないから仕方ない」というものではありません。
- オシッコが詰まっていないか
- 細菌感染はないか
- 結石はないか
- 腫瘍など別の病気はないか
そうした大切な原因を丁寧に確認したうえで、最も可能性が高いタイプとして診断されます。

猫はトイレ行動で体調を教えてくれる動物ってことね!
だから気づけるサインがあることは、病気を見つける上で大きな強みなのね!
もし気になる様子があれば、早めに相談しまぁ〜す!
特発性膀胱炎、理解できました、