若山動物病院ブログ
寒がりなだけ?
千葉県佐倉市の『若山動物病院』の千明です。
1月に入り、気温がぐっと下がり、朝夕の冷え込みを感じる日が増えてきました。
最近は風の強い日も多く、雪や雨の影響で、寒さが一層身にしみます。
そんな中、「布団や炬燵から出てこない」「暖房のそばを離れない」など、寒がる様子を見せるワンちゃんも増えています。
実はその“寒がり”が、「甲状腺機能低下症」のサインとして現れていることもあります。
甲状腺とは
甲状腺は首の前部に位置する重要な臓器で、気管を挟んで左右に1つずつあり、甲状腺ホルモンを分泌しています。

甲状腺ホルモンは細胞の働きを活発にし、新陳代謝を高めてエネルギー産生を支えるほか、タンパク質や酵素の合成を促進します。
さらに、炭水化物や脂質の代謝にも関わり、体の正常な成長や発達、体温の維持、心臓の働きなど、さまざまな体の機能を調節しています。
甲状腺は、体にとってとても大切な「代謝の司令塔」といえる存在です。
甲状腺機能低下症とは?
甲状腺機能低下症は、甲状腺ホルモンの分泌が不足することで、体の代謝が低下する病気です。
甲状腺ホルモンは、代謝や体温調節、皮膚や被毛の健康維持などに深く関わっているため、その不足は全身にさまざまな影響を及ぼします。

甲状腺機能低下症の主な原因には、次のようなものがあります。
- 自己免疫性甲状腺炎:免疫システムが誤って甲状腺を攻撃し、炎症を起こす
- 甲状腺萎縮:加齢や遺伝的要因により、甲状腺が徐々に小さくなる
- 医原性甲状腺機能低下症:放射線治療や手術など、他の治療が原因となって発症する
犬の甲状腺機能低下症は、多くの場合、自己免疫性疾患が原因とされています。免疫システムが甲状腺組織を誤って攻撃することで、甲状腺の働きが低下し、症状が現れます。
甲状腺機能低下症の症状
甲状腺ホルモンが不足すると、犬の体にはさまざまな変化が現れます。
次のような症状が見られる場合は、注意が必要です。
- 脱毛や被毛が薄くなる、毛づやが悪くなる
- 皮膚が厚くなり、乾燥やフケが増える
- 活動量が減り、だるそうに見える
- 食事量は変わらないのに体重が増える
- 寒さに敏感になり、暖かい場所を好むようになる
- 寝ている時間が増える
- 散歩に行きたがらない、遊ばなくなる
- 顔つきがむくんだように見える
- 表情がぼんやりし、無気力に見える
- 嘔吐、下痢、便秘などの消化器症状が見られることもある

これらの症状は、少しずつ進行することが多く、「年齢のせいかな?」と見過ごされてしまうことも少なくありません。
甲状腺機能低下症は、ゆっくりと進行するため、「年齢のせいかな」と見過ごされやすい病気です。
日頃から愛犬の様子をよく観察し、定期的な健康診断を取り入れることが、早期発見と大切な健康を守る第一歩になります。