若山動物病院ブログ
夏といえば
千葉県佐倉市の『若山動物病院』の千明です。
梅雨も明けてセミの鳴き声が聞こえるようになり、今年も暑い夏が始まりました。
外掃除や水まきなど庭仕事の時に耳元で不快な羽音をたてて飛び回る蚊。
心なしか昨年の蚊より体が大きく見えるのは私だけでしょうか…。
蚊はさまざまな病気を媒介する生き物として知られていますが、その病気の中でもワンちゃん猫ちゃんにとって注意しなければならいのは『フィラリア症』です。
『フィラリア症』とはフィラリア(糸状虫)と呼ばれる寄生虫が蚊を媒介にして感染して引き起こされる病気です。
フィラリアは犬だけではなく猫やフェレットなどの哺乳類全般に感染し、ヒトにも感染することがあります。
全世界では1億人以上のヒトがフィラリアに感染していると推定されています。
フィラリア症の原因となる蚊は約16種類が確認されており、その中には冬でも吸血活動をする種類もいます。
感染したフィラリアは体内で成虫になり、やがて心臓や肺動脈に寄生します。
感染初期ではほとんど無症状ですが感染を繰り返したり長期間感染していたりすると、循環障害や呼吸器障害などを引き起こし最悪は死にいたります。
フィラリアに感染した場合の治療には外科手術による寄生虫摘出か、長期にわたる内服薬の投与しかありません。
フィラリア症にならないためには毎年適切な予防をすることが大切です。
フィラリア症の予防シーズンは5月〜12月とされていますが、近年では地球温暖化の影響で蚊の活動期間が伸びてきているため、1年間を通しての予防が推奨されています。
猫ちゃんへの感染率も年々増加しており、過去の研究では「10頭に1頭はフィラリアに感染している」とうデータまであります。
そして猫ちゃんの突然死の約1割はフィラリア症によるものだという報告もあります。
猫ちゃんには月1回の背中に垂らすスポットタイプの予防薬で突然死を回避する事ができます。
猫ちゃんの予防薬はフィラリア症だけでなく、ノミ・マダニやお腹に住む寄生虫も予防することができます。