若山動物病院ブログ
猫の偏食の原因と対策
「昨日は食べたのに、今日は食べない・・・」
そんな猫ちゃんの偏食に悩んだことはありませんか?
実は偏食の原因は、単なる「好き嫌い」だけではありません。
フードの与え方や環境、健康状態、過去の経験などさまざまです。
今回は猫ちゃんが偏食になる主な理由と、その改善方法をご紹介します。
1. 幼少期の経験(味の刷り込み)
猫ちゃんの食の好みは、生後約3か月までに決まるといわれています。
この時期に同じ種類のフードばかり与えていると、成長してから新しいフードを受け入れにくくなります。
【対策】
- 子猫期にドライ・ウェット・パウチなど形状や風味の異なるフードを経験させる。
- 魚味、肉味などバリエーションを与え、将来の偏食を予防。
- 偏食が始まってしまったら、普段のフードに新しいフードを少しずつ混ぜて慣らす。

2. 食器・食事環境
深すぎる食器はヒゲが当たり不快になったり、プラスチックの器はニオイを嫌がる猫もいます。
また人通りの多い場所や、物音の多い環境では落ち着いて食事できません。
【対策】
- 浅くて広めの食器を使用し、陶器やステンレスなどニオイが付きにくい食器を選んでみる。
- 食器は毎回洗い清潔に保つ。
- 静かで安心できる場所で食事ができるようにし、段ボールなどで囲って視線を遮るとより安心。
3. 生活習慣(運動・活動量)
運動不足だと消費エネルギーが減り、お腹が空きにくくなります。
単調な生活は退屈やストレスを招き、偏食の原因にもなります。
【対策】
- キャットタワーやおもちゃで毎日遊び、適度な運動を取り入れる。
- 飼い主との遊びはストレス解消や絆づくりにも効果的。
- 食事や遊びの時間をできるだけ一定にし、生活リズムを整えてみる。

4. 病気・体調不良
口内炎や歯周病、消化器の不調、腎臓病などの病気が原因で、食欲が落ちることがあります。
高齢猫ちゃんでは、代謝の低下や関節痛でも食欲が減ります。
【対策】
- 急な食欲低下や体重減少、嘔吐・下痢があれば早めに受診する。
- 基礎疾患があれば治療や療法食の切り替えで改善することも。
- 口腔ケアや毛玉対策を日常的に行い、病気予防にも努める。
5. 甘やかし・与え方の問題
オヤツやヒトの食べ物を頻繁に与えると、偏食になることがあります。
【対策】
- 主食は栄養バランスの取れたキャットフードに限定する。
- 家族全員で「ヒトの食べ物は与えない」ルールを共有!
- 催促されても安易にオヤツを与えない。
- オヤツを与える場合は、低カロリー・栄養バランスの取れたものを少量だけ。
6. 過去のトラウマ
フード切り替え時の体調不良や、食事中の嫌なことなどが原因で特定の食べ物を拒むこともあります。
【対策】
- 無理強いせず徐々に慣らす。
- 出汁やまたたび粉など香りで興味を引く工夫も有効。
- 食事場所を変えて嫌な記憶と切り離す。
- 必要に応じて獣医師や行動カウンセラーに相談する。
まとめ
猫ちゃんの偏食は「ワガママ」だけが原因ではありません。
原因を見極め環境づくりや習慣改善を行うことで、猫ちゃんも飼い主さんもストレスなく食事を楽しめます。