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若山動物病院ブログ

角膜潰瘍

千葉県佐倉市の『若山動物病院』の千明です。

少しずつ気温が上がり春らしい陽気になってきました。
季節の変わり目にはよく強い風が吹きますが、冬から春に移り変わる今の時季は1年の中で最も強い風が吹く時季でもあります。
そのため眼の中にゴミや自身の毛が入りやすくなったり、花粉の影響で眼が痒くなって擦ってしまったりして眼の表面に傷を作ってしまう子が多くなります。
眼の表面に傷ができてしまうことを『角膜潰瘍』と言います。

角膜潰瘍
眼表面の緑色に染まっている部分が傷がついている角膜
目次

角膜とは

角膜とは眼の表面を覆う厚さ0.5mmほどの透明なドーム状の膜で、外側から角膜上皮、基底膜、角膜実質、デスメ膜、角膜内皮で構成されています。
眼の中へ入ってくる光の屈折を助けるレンズのような役割や異物や細菌などから眼を守るバリアの役割をしています。

角膜潰瘍の原因

角膜に傷ができてしまう原因は多くあります。

  • 外傷
  • 細菌、ウイルス、真菌などの感染
  • ドライアイ
  • 眼の中の異物
  • まぶたの異常
  • 逆さまつげや自身の毛による慢性的な刺激
  • シャンプーやドライヤーなどの刺激

特に眼が大きい子や鼻がペチャっとしている短頭種の子は眼に傷がつきやすい傾向にあるので注意が必要です。

角膜潰瘍の症状

  • 眼をしょぼしょぼしている
  • 涙が多い
  • 充血
  • 目やにが多い
  • 眼をかく仕草がある

角膜潰瘍になると痛みや違和感から顔をどこかに擦り付けたり前肢で眼をかいたりする仕草が見られます。
眼を擦りすぎると炎症が悪化して結膜炎を併発することがあります。

結膜炎
眼を擦りすぎて炎症をおこして腫れてしまった結膜


また角膜にできた傷が深かったり、潰瘍が進行してしまったりすると角膜に穴があく『角膜穿孔』をおこしてしまう場合があります。
角膜穿孔をおこしてしまうと外科的治療が必要になることや最悪の場合は失明してしまうこともあるので早期に治療を開始する必要があります。

角膜穿孔
角膜の傷が深く穴があいて眼の中身が飛び出してきてしまっています

お家での予防

毛が長い子はその毛によって眼に傷を作ってしまったり、慢性的な刺激からドライアイを発症することがあります。
眼に毛が入ってしまう場合はこまめにカットをしてあげることで多くの眼の病気を防ぐことができます。
日常的に目やにや涙で眼周りが濡れている子は細菌が繁殖しやすく眼への感染へと繋がってしまうため、常にキレイにしておくことを心がけましょう。
毛繕いや顔をかいた際に自身の爪で眼を傷つけてしまう場合もあるので、定期的に爪切りをおこなって短い状態を維持しておくと安心です。

また角膜潰瘍ができた際に眼を擦ると傷を広げたり深くしてしまったりすることがあるので、あまりにひどく擦っている場合にはエリザベスカラーを着用をオススメすることもあります。