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若山動物病院ブログ

関節炎

千葉県佐倉市の『若山動物病院』の千明です。

21日に沖縄・奄美地方が梅雨入りし、本格的に雨の季節が始まろうとしています。
梅雨になると皮膚や耳、泌尿器などにトラブルをおこしやすくなりますが、実は関節炎も悪化しやすい季節なんです。
なぜ梅雨に関節炎が悪化してしまうのでしょうか。

目次

関節炎とは

関節は骨と骨をつなげている場所で、関節があることで体はさまざまな動きをしたりバランスを取ったりすることができます。
また関節内には骨から伝わる強い衝撃を吸収できるように軟骨や関節液と呼ばれるクッション材が備わっていて、激しい運動による骨への大きなダメージを防いでくれています。
その関節が何らかの原因で炎症をおこし、痛みや関節の動く範囲が低下してしまっている状態を『関節炎』といいます。

肘関節の変形
関節炎をおこしている肘関節:右側の肘の骨が炎症により形が崩れてしまっています

関節炎には関節の靭帯損傷や脱臼、形成不全などによって引きおこされる変性性関節疾患、細菌などの感染による感染性関節炎、自己免疫によって軟骨が損傷を受けるリウマチ様関節炎などがあります。

梅雨は関節が痛い!

梅雨に関節炎が悪化してしまうのには、湿度の増加や気圧の変動による影響が関係していると言われています。

湿度の影響

湿度が高いと洗濯物は乾きにくくなります。
それは空気中に含まれる水分が多いために、洗濯物の水分が蒸発しづらいからです。
これは体にとっても同じことで湿度が高いと体に含まれる水分が蒸発しづらく、体が浮腫みやすくなってしまいます。
もちろん関節内にも水分が含まれているので浮腫んだような状態になり、腫れや痛みが出やすいと言われています。

気圧の影響

高い山に登ると気圧によってお菓子の袋がパンパンに膨らむように、気圧が低いと関節腔が広がり関節が腫れやすくなります。
関節腔が広がるとより多くの炎症細胞が関節内に入りこみ、関節の痛みが悪化するとされています。

また気圧が急激に下がると体内で分泌される痛みの原因物質である「ヒスタミン」の分泌が増え、炎症の悪化やヒスタミンによって自律神経の一つである交感神経が刺激されてより痛みを感じやすくなります。
痛みは交感神経を刺激するのでさらに痛みを感じやすくなり、痛みのループへと繋がってしまいます。
交感神経が刺激されると血管収縮もおこるため関節の血流が悪くなり、さらにそこへ梅雨の冷えが入ってしまうとより痛みは強くなってしまいます。

梅雨の痛みを和らげるには

梅雨時の関節の痛みを和らげるには乱れた自律神経を整え、血流を改善させてあげることが大切です。

血流改善その1:足湯

足湯には自律神経を整え血流を改善させるだけでなく、疲労回復やリラックス効果、睡眠の質や免疫力の向上など嬉しい効果がたくさんあります。

足湯
足湯中の病院犬シロちゃん

ぬるめのお湯を洗面器やベビーバスなどに溜めて3〜5分ほどつかりましょう。
ワンちゃんはお散歩やお出かけ後に足をキレイにするときに一緒にやってあげると疲れも癒せてオススメです。
濡れるのが苦手な子や猫ちゃんには蒸しタオルなどで足先を温めてあげるといいですね。

血流改善その2:温灸

温灸は患部に直接あてることができ、準備にさほど時間もかからないので手軽に使えるグッズでもあります。
体に熱を加えることで血流が改善され副交感神経が優位になり、リラックス効果ををもたらします。
また熱の刺激で白血球や免疫細胞が活性化されて免疫力が向上します。

温灸
びわの葉温灸

びわの葉温灸に含まれる「アミグダリン」には抗炎症作用と鎮痛作用もあり、患部にあてることでより効果を発揮します。

血流改善その3:サポーター

サポーターや丈のあるお洋服を着せてあげると自身の体温で患部を温めることができ、血流改善につながります。

サポーター
膝関節用サポーター


ワンちゃん猫ちゃんは痛みを隠すのが上手な生き物であり、痛みの程度や感じ方はその子その子によって違います。
たとえ痛がっていなかったとしても、体重の掛け方や体の動かし方、筋肉のつき方などから痛みや違和感に気づいて対処してあげることが大切です。

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