若山動物病院ブログ
ムッチャ暑い・熱中症にご用心
熱中症は気温や室温が高く、しかもジメジメと湿度が高い環境で、脱水とカラダの中の重要な臓器へ流れる血液の量が減ることにより引き起こされます。
しかも重症化してしまうとカラダの細胞が破壊され、多臓器不全となり亡くなってしまう事もあります。
熱中症は、以下の状態のときに起こりやすいと言われています。
- 気温が高い、湿度が高い、日差しが強い、閉め切った屋内、エアコンが無い
- 高齢、肥満、栄養状態や体調が悪い、脱水傾向にある
- 激しい運動、長時間の散歩、水分補給をしなかった
犬もヒトと同じように、高温多湿で起こります。
しかも犬は汗をかかないため、ヒトよりもカラダの中に熱がこもりやすいとも言えます。
また犬の中でもパグみたいな短頭種は、熱中症にかかりやすいと言われます。
さらには心臓病や肥満である場合は、熱中症が重症化しやすいとも言われています。
重症になると、意識障害や痙攣発作、肝臓や腎臓の機能障害、血液凝固異常が出ます。
そのため重症化した場合には、早々に対処しなくてはなりません。
まず熱くなったカラダを冷やし、脱水を改善し、さらに全身状態に合わせた治療を行います。
もし臓器障害が進行してしまうと、敗血症や血液凝固異常(DIC:播種性血管内凝固)を引き起こすとされています。
心臓が悪い犬では、肺水腫を起こしてしまいます。
肺水腫を起こすと肺の空気の入る部分に水が溜まい、とっても息苦しくなります。
カラダは脱水なのに肺は冠水・・・
脱水を治すには水分補給をしますが、肺水腫を治すには肺の水を抜くと言う相反するような治療を行わなければなりません!
熱中症は、予防が大切です。
夏場の散歩は早朝と深夜が良いとは言いますが、一概に賛成は出来ません!
佐倉市の本日午前6時の気温は26℃湿度96%、24時頃には午前6時と同様な状態になるとの予想です。
この表を見てもわかるように、夜は気温が下がりますが湿度は逆に上がります。
そのためハァハァと呼吸でしか熱の調整が出来ない犬では、湿度が高い環境では体温調節が思ったようにうまくいきません。
温度ばっかり気にして、湿度を忘れてはいけません!
先日も夜に気温が下がったからと散歩に出かけ、帰ってきたら肺水腫を起こし具合が悪くなった犬が来院しました。
排水腫とは肺に水が溜まっている訳ですから、溺れたと同じような状態です。
これはとっても息苦しいとは思いませんか?
肺水腫を起こすと、咳をすると血液が出てくることがあります。
また胸の音を聞くと、ゼロゼロとかプツプツとした音が聴こえます。
熱中症は暑さだけでなく湿度も関係する、本当に危険な病気です!
しかも熱中症は段階を経て重症化していくため、異常の早期発見、早期対応が重要です。
そのためにも飼い主さんの知識と観察力で、対策をとってあげましょう