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腎性貧血と鉄

腎性貧血と鉄

慢性腎臓病の猫ちゃんが、貧血になってしまう事があります。
これは腎臓から分泌されている「エリスロポエチン」という、ホルモンの分泌不足が原因の一つとされています。

このホルモンは、赤血球をつくる働きを促します。
そのため腎臓の働きが落ちると腎臓からのエリスロポエチンの分泌が減ってしまい、その結果赤血球をつくる能力が落ちてしまうのです。
このようにしておこる貧血を腎性貧血といいます。

腎性貧血は、腎臓病の悪化とともに徐々に徐々に進みます。

そのため急性の貧血とは違い、猫ちゃんのカラダが貧血に対して慣れを生じてしまいます。

その結果、貧血になっていることに気がつかないことが多々あります。
腎性貧血の場合、エリスロポエチンを使用しないと貧血は改善されません。

ただ、どの段階から始めたら良いかが悩みどころです。
一般的には血液検査でヘマトクリット値と言う、血液中に占める赤血球の割合を示す数値が「25%以下」になってきたら使い始めているようです。
重度の貧血では血液が作られるまで待ってられませんので、場合によっては輸血を行うこともあります。

エリスロポエチンを投与しても、貧血が改善しないという場合があります。
エリスロポエチンは赤血球をつくる働きを促すだけですから、当然赤血球の材料が足りないとダメですよね
つまり、いくら指示を出しても材料がないと作れないんです。

赤血球を作るに当たって必要なモノは、鉄やビタミンB12、葉酸などです。
それらはフードを規定量食べているのなら普通は不足はしません。
しかし慢性腎炎になると食欲も落ちる傾向にあるため、材料不足になってしまう事があります。
そのような場合には、鉄やビタミンB12、葉酸を補ってあげる必要があります。

また併発症や他の病気が隠れていることもあります。
そのため、腎臓病以外の原因を探す必要があります

これはエポベット(EPOVET)と言う、ネコ用のエリスロポエチン製剤です。