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若山動物病院ブログ

思いもよらぬ効果

2回目の幹細胞療法に受診した猫ちゃん。
飼い主さんが言うには
「すごく元気になり動きも良く、しかも吐くのが減った」と言うのです。

元気と動きについてはわかるんですが、この吐くについては「何んでだ?」だったんです。
でも思うに、胃もトラブルを抱えていたんだろうかも?
そこで調べてたら、胃粘膜と幹細胞についての文献があったんです。

学者さんの書いた文献なので、まぁ専門用語の多いこと!多いこと!
難解な部分も多々あったのです、解読するとこんな感じなのかな?って!

胃には食べ物を分解する酵素や「胃酸」を分泌する「胃腺」という分泌腺が多数存在します。
胃酸はPHが1~2程度の強い酸性となっており、外部から侵入した細菌などを殺すことができるようになっています。

胃酸は胃粘膜までも壊すことが無いように、「表層粘液細胞」という細胞が、胃酸や消化酵素から胃を守る粘液を分泌し保護しています。

しかしこの細胞には胃酸などからのストレスが強力にかかるため、胃粘膜を健康な状態に保つには常に新しい細胞に置き換わる必要があります。

ストレスで細胞の寿命が短いってことなんでしょうね?
そのため置き換わる間隔は、なんと数日!
数日で新たな細胞に置き換わらないと、胃がやられちゃうってことなんです。
そして、その起き代わりを支えてるのが幹細胞!

幹細胞は分裂して自分と同じ幹細胞を複製する、自己複製能力を持っています。
また、それぞれの機能を持った細胞に分化する能力も持っています。

つまり幹細胞が頑張らないと、胃は胃酸や消化酵素から守られないってことなんです。
しかも生涯に渡って新しい細胞が供給されないと、胃が健康な状態を保つ事が出来ないんです。

そんなことから、猫ちゃんに移植した幹細胞が頑張って胃の機能を復活させたのかな?
そう思ったのですが、実際のところはよく分かりません!

幹細胞療法を行っていて思うところは、
治療を目的とする場所以外のところで、何らかの反応が見られる事があるっていう事です。
これは幹細胞の持つ分化する能力以外の、組織への栄養因子の分泌や炎症を抑えたり組織の修復を促したりする働きからなんでしょうね!

今回の吐き気が減ったと言う効果は、飼い主さんには嬉しい事です。
これで腎臓の機能も改善すると、さらに嬉しさ倍増!