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若山動物病院ブログ

腸が出てきちゃった‥

ネコちゃんは吐くことの多い動物です。
毛玉は猫草食べさせて吐かせる、なんて事もあります。
そのためか、吐く事が大変な事につながっているなんて思う事もありません。

しかし吐き気を起こす病気の中に「腸重積」ってのがあります。
これは腸の一部が、腸の中に入り込んでしまう状態とです。
もし自然に抜けなかったら、とっても大変なことになりますよね?
って言うか、自然に抜けない事の方が多いようにも思ったりもします!

今回の症状は、食欲が無くて水下痢、お腹がカチンカチンで固くなっていました。
しかも「重積」した腸が、肛門から20cm近くも出ちゃって…壊死状態です。

もう脱水も著しく、電解質異常も起こしています。
相当痛いのでしょうね、動く事も無くうずくまってます。

緊急手術です。

小腸が盲腸との境目から入り込んで、それが肛門から出ちゃってるんです。
小腸から盲腸の間には『回盲弁』と呼ばれる、ウンチが逆流させないようにしている部分があります。
大腸内に入り込んだ小腸が、その弁でギューっとされていた状態が長く痛んでいました。
そのため、そこまでも切除が必要になりました。
無事に退院できたとしても、最初は栄養障害や下痢が起こります。

小腸は、フードが流れ込む順から十二指腸、空腸、回腸の3つになります。
小腸の働きは栄養分の吸収です。
しかし小腸の部位によって吸収できる栄養素が違いうため、切り取った場所や長さによっては、吸収できる栄養素や量が違ってきます。

今回の手術では回腸と盲腸、結腸の一部が無くなってしまいました。

空腸は、ビタミンB12と肝臓から分泌されて消化を助ける胆汁酸以外の栄養素吸収します。
つまり回腸が無くなると、ビタミンB12と胆汁酸が吸収できなくなってしまいます。
胆汁酸は腸で脂肪の消化吸収にはたらきます。
そのため下痢や栄養状態の悪化、ビタミンB12欠乏症などが起こります。

しかし腸は凄~い!
腸管順応と言って、短くなってしまった腸は構造的な変化を起こし機能が改善するんですって!