若山動物病院ブログ
慢性腎不全と幹細胞療法
今日は祝日で休診日ですが、朝から猫の幹細胞の培養を行っています。
幹細胞は、まだ1歳にもなっていない子から採取しました。
その幹細胞を増やし、いつでも治療に使えるようにマイナス80度で凍結保存しておきます。
このところ、慢性腎不全の猫に幹細胞療法を行うことが多くなってきています。
高齢になると猫は腎臓病を患い、慢性腎不全(CKD)となってしまうことがよくあります。
慢性腎不全になると、腎臓の機能が徐々に落ちてしまいます。
そのような慢性腎臓病の治療方法として、幹細胞療法が注目されるようになってきました。
幹細胞療法とは
幹細胞は自己複製能力を持ち、様々な細胞に分化できる特殊な細胞です。
そして幹細胞療法は、幹細胞の持つ細胞の再生や修復を促進する力を利用した治療方法です。
慢性腎不全の猫に幹細胞療法を行うと、腎臓の細胞の再生や炎症の軽減、そして血液の流れが改善する可能性があります。
当院で行なっている幹細胞療法は、脂肪組織から採取された幹細胞を使用しています。
期待できる効果
慢性腎不全では、以下のような効果が期待できます。
腎機能の改善
幹細胞が腎臓の組織に取り込まれることで、機能が低下した腎細胞が再生されることが期待されます。
これにより腎臓の濾過する機能が改善し、血液中の尿素窒素(BUN)やクレアチニンの値が改善される可能性があります。
炎症の抑制
慢性腎不全が悪化する要因に、腎臓の炎症が腎炎の進行を加速させる要因となっています。
幹細胞の持つ炎症を抑える力により、腎臓のさらなる損傷を防ぐことが期待されます。
生活の質の向上
症状が軽くなることで食欲や活動性が向上し、生活の質が改善される可能性があります。
このように幹細胞療法には、慢性腎不全の治療の選択肢の一つとなることが期待されています。
注意点
病状の進行の度合いや個体差によって、幹細胞療法の治療の効果は違います。
そのため、幹細胞療法を受けるにあたっては体調や事前に検査などが重要になります。