若山動物病院ブログ
脳に転移•••!
「てんかん」みたいな痙攣が出る、そんな子の来院です。
このような場合、脳に症状が現れる病気について調べる必要があります。
脳炎や髄膜炎、肝性脳症、尿毒症性脳症、てんかん、そして脳の問題などもあります。
調べてみると、乳腺にも肺にも腫瘍が出来ちゃってました。
このように乳がんは、肝臓や肺、脳などに転移しやすい傾向があります。
痙攣するってことは脳に転移しており、神経細胞が異常に活発になっているり筋肉や神経に影響を与えるためです。
と言うことは確率は少ないとは言え、乳腺の腫瘍が脳に転移している事が考えられます。
犬の乳腺腫瘍乳が脳に転移した場合、痙攣が起こる理由はいくつか考えられます。
- 脳の神経回路の正常な活動に影響を与え、神経信号が異常となる。
- 脳が炎症を起こし、脳に浮腫をが生じてしまう。
- 神経伝達物質のバランスが崩れてしまう。
- 脳内の血液の流れを悪くし、脳内の酸素や栄養が不足してしまう。
乳がんは、早期に発見され治療されれば治癒率も高いとされています。
もし乳腺から離れた臓器や組織に転移した場合には、治癒が難しくなります。
乳がんが離れた臓器に転移する過程は、本来は複雑なんですが簡単に説明します。
がん細胞は血管やリンパ管に入り全身を回り特定の臓器に定着し新しい腫瘍を作りますが、その際に「がん細胞」の『免疫回避機構』そして『転移先の微小環境』が深く関与します。
『遊走能力』とは「がん細胞」が、最初に発生した場所から他の組織や臓器へ移動する能力です。
この能力は、がんの悪性度や転移能力に関係し「がん細胞」がより遠く広がる事を可能にします。
『免疫回避機構』により「がん細胞」は免疫系からの監視を逃れ、破壊されずに生き残り体内で増殖・転移を続ける事ができます。
『微小環境』では特殊な環境が作られているため、免疫細胞が正常に働く事ができません。そのため免疫細胞が働きやすい環境を作り出すことが、治療において重要だと言われています。
乳がんは骨によく転移し骨を脆くし、痛みを起こしたり転移した部位が折れやすくもなりします。
肺や肝臓への転移も見られますが、初期には多くは無症状です。
脳に転移した場合には運動麻痺や痙攣などの症状が見られるだけでなく、進行も速く予後が悪い場合が多いとされています。
遠隔転移を伴った場合には「がん」の治療だけでなく、緩和ケアを行い痛みだけでなく生活の質を向上させてあげるようにします。