若山動物病院ブログ
胸水
千葉県佐倉市の『若山動物病院』の新垣です。
今回は近頃に来院される子が増えている「胸水」についてです
胸水とは胸部に溜まる液体のことをいいます。
ちなみに腹部に液体が溜まったの場合は腹水といいます。
体内には様々な臓器があり、臓器と臓器の間には隙間があります。
その空間に何らかの原因で通常であればないはずの液体が溜まってしまい臓器を圧迫して、胸部なら心臓や肺の機能を、腹部なら消化器等の諸々の機能を邪魔してしまうのです(◎_◎;)
原因は心臓病や感染症、腫瘍など、多くの病気が胸水を引き起こす可能性があります。
〈胸水の主な症状〉
・呼吸がはやくなる/呼吸困難
・咳が出る
・舌や粘膜が青紫色になる
・下痢/嘔吐
・食欲低下
・動きたがらない
初期には症状も緩やかなことがあり、気が付けない場合もあります。
胸水はレントゲンやエコー(超音波)検査で確認することができます。
まずは胸水と腹水を起こしている子のレントゲン画像です⇩
次に普通の子のレントゲンです⇩
2枚のレントゲンを見比べると画像の「白」と「黒」の位置が違いますよね👀
青矢印の先は「肺」があります。
肺には空気がたくさん含まれるのでレントゲンでは「黒く」写りますが、胸水が溜まると「白く」写ります。
赤矢印の先は腹部でたくさんの臓器があり、白黒の濃淡で各臓器のシルエットが確認できますが、腹水が溜まると「白く」スリガラスのようになりほとんど分かりません。
胸水といっても溜まった液体には様々なパターンがあります。
血液であれば「血胸(けっきょう)」
膿であれば「膿胸(のうきょう)」
腸から吸収された脂肪を含んだリンパ液(乳び)であれば「乳び胸(にゅうびきょう)」
…と、原因や状態によって違いがあります。
症状が軽度である場合、投薬で溜まった液体を減らすために治療が行われることがあります。
胸水の量が多く緊急性がある場合には、外科的に胸水を抜く処置が行われます。
⚠重度では呼吸困難など生命にかかわる症状になり、緊急でのすぐに処置が必要になるのです⚠
〈普段と違う呼吸の例〉
・すぐに息があがる
・呼吸の回数が増える/呼吸がはやい
・口を開けて呼吸をする/体全体で呼吸をしている
特に普段と違う呼吸の仕方をしている場合には、
胸水が原因のときに限らず、病院へ連絡&受診をしましょう!!