若山動物病院ブログ
貧血🩸
こんにちは。
千葉県佐倉市『若山動物病院』の松田です。
今回は犬猫の貧血についてお話ししていきたいと思います。
犬や猫の貧血は、血液中の赤血球やヘモグロビンが不足している状態を言います。この状態になると、酸素が十分に全身に運ばれなくなり、さまざまな症状が現れます。貧血は原因によっていくつかの種類があり、それぞれ異なる治療が必要です。
貧血の種類と原因
貧血の原因は大きく3つに分けられます。
• 出血性貧血
外傷、消化管出血、寄生虫などによって出血が続くと赤血球が減少し、貧血が引き起こされます。消化管内での寄生虫や腫瘍が原因となることもあります。
• 溶血性貧血
自己免疫性溶血性貧血(IMHA)や血液寄生虫によって、体内で赤血球が破壊されることがあります。特にIMHAは自己免疫疾患で、免疫が誤って自身の赤血球を攻撃してしまいます。
• 非再生性貧血
骨髄での赤血球を作る能力が低下した結果、貧血になってしまいます。慢性的な腎不全、栄養不足、ホルモンの問題(甲状腺機能低下症など)などが原因となることがあります。
貧血の症状
貧血になると、下記のような症状を示すことがあります。
• 元気や活力がなくなる
• 運動を嫌がる、すぐに疲れる
• 粘膜(歯茎や結膜)が淡い色になる
• 食欲不振や体重減少
• 呼吸が速くなる、息切れする
• 心拍が速くなる
特に重度の貧血では、息切れや動けなくなるような症状も見られるため、早期の対応が重要です。
診断と治療
貧血の診断には、血液検査が基本です。赤血球数、ヘモグロビン濃度、ヘマトクリット値などを調べ、貧血の有無やその程度を確認します。また、骨髄検査や追加の血液検査により、貧血の原因を特定することもあります。
治療方法は原因によって異なります。
• 出血性貧血の場合、出血の原因を取り除くことが重要です。場合によっては輸血が必要になることもあります。
• 溶血性貧血では、免疫抑制薬の投与が行われることがあります。
• 非再生性貧血の場合、基礎疾患(腎臓病など)の治療が行われます。
日常での注意点
貧血のリスクがある犬や猫の場合、定期的な健康診断が大切です。歳を重ねるごとに腎機能が低下したり、免疫の問題が出たりすることが多いため、年に1〜2回の血液検査を受けることで早期発見に繋がります。
貧血は放置すると重篤な状態を引き起こすことがあるため、少しでも異変を感じた場合は早めに病院にご相談ください。