若山動物病院ブログ
DICを起こしてる
子宮蓄膿症からDICを起こしてしまった子が来院しました。
子宮蓄膿は子宮に細菌が入り込み、感染を起こすことから始まります。
感染した子宮には白血球などが集まり、細菌を攻撃しようとします。
その結果、子宮の中に膿がたまり悪化すると血小板が減ってしまうことがあります。
血小板は、ケガがをしたときに血を固めて出血を止める働きをしています。
そのため血小板が減ると出血しやすくなり、傷が治りにくくなってしまいます。
DICを起こしている原因を取り除く事が、DICを治す治療にもなります。
そのため、この場合は子宮蓄膿症を治す必要があるので、手術で子宮を取り除き手術後には点滴と抗生剤での治療です。
子宮蓄膿症と細菌の影響
子宮の中の膿が増え続けると細菌や細菌が作る毒素が血液中に入り込み、体全体に広がってしまいます。
この状態を「敗血症」と呼び、とても危険な状態となります。
敗血症を起こすと細菌を排除しようとして強い免疫反応を起こし、この反応が過剰になるとDICが引き起こされるのです。
血小板の役割と減る理由
血小板は血液の成分の一つで、傷ができたときに血を固めて出血を止める働きをします。
健康であれば、血小板は必要な時にだけ血を固めるために使われます。
子宮蓄膿症から敗血症が起こると、血液中に入り込んだ細菌をカラダから追い出そうとして強い免疫反応を起こします。
これはカラダの持つ防御反応なのですが、この反応が強すぎると血小板が大量に使われ減ってしまいます。
子宮蓄膿症で敗血症が起きると、体の中で必要以上に血小板が使われてしまうのです。
これは細菌や毒素が体に広がることで、「DIC(播種性血管内凝固)」という状態が引き起こされるためです。
DICと血小板減少の関係
DICでは、血小板と一緒に血を固めるための凝固因子もどんどん使われます。
健康であれば、血液は必要な時だけ固まる仕組みになっています。
しかしDICが起きると、体は細菌を封じ込めるためにあちこちで血液を固めようとします。
そのため、血小板と凝固因子が大量に消費されてしまい逆に血小板が不足してしまいます。
血小板が足りなくなると、出血しやすくなってしまいます。
そのため些細なことで血管が傷ついても、血液を固める力が弱くなり小さな傷でも出血が止まらなくなってしまいます。
このようにDICが起こるとカラダの中で血液が「固まりすぎる」状態と「出血しやすい」状態が同時に起こってしまうのです。
まとめ
犬の子宮蓄膿症が進行して細菌や毒素が血液に広がると、体は強い反応を起こし、細菌を抑え込もうとするため血小板が大量に消費されます。
このため血小板が減り、出血しやすい状態になるのです。
子宮蓄膿症は放置すると命にかかわるため、早めの治療が大切です。