若山動物病院ブログ
膀胱結石
千葉県佐倉市の『若山動物病院』の千明です。
今日のお昼は猫ちゃんの膀胱結石の摘出手術がありました。
この子は10月中頃に秋の健康診断で当院を受診し、そこで血尿が発覚したため飲み薬での治療を開始。
しかしお薬を飲んでいても血尿が出るということで、腹部のレントゲン撮影とエコー検査をおこなうことに。
すると、膀胱の中に丸々とした小さな塊たちが!
お薬を飲んでも血尿が続いた原因はこの小さな塊たち『膀胱結石』ができていたからでした。
膀胱結石にはいくつかの種類があり、その種類によってはレントゲンには写らない場合もあります。
そのため膀胱結石の診断には尿検査、レントゲン撮影、エコー検査が必要です。
では、なぜ膀胱結石はできてしまうのでしょうか。
膀胱結石とは
オシッコに含まれるカルシウムやリン酸、シュウ酸などのさまざまなミネラル成分が結晶化して膀胱内で結石になってしまったものを『膀胱結石』と言います。
腎臓にできれば「腎結石」、尿管にできれば「尿管結石」と呼ばれ、腎臓から尿道までの尿路で結石ができることを総称して『尿路結石症』と言います。
猫ちゃんの結石では主にストルバイトとシュウ酸カルシウムの2種類の成分から形成されることが多く、全体の9割を占めると言われています。
また年齢によって結石の種類が変化することがわかっていて、8歳頃まではストルバイト結石ができやすく、10歳以降はシュウ酸カルシウム結石ができやすい傾向があります。
結石症の原因
結石症の原因は多岐にわたり、複雑に絡んでいることがほとんどです。
- 食餌
- 飲水量不足
- 不適切なトイレ環境
- 細菌感染
- 肥満
- 運動不足
- ストレス
- ホルモン異常
- 遺伝
この中でも特に気をつけなければいけないのが「飲水量不足」と「トイレ環境」です。
飲水量が不足していると体内で作られるオシッコの濃度が高くなってしまい、結石の成分も濃くなるため結石が形成されやすくなります。
また、きちんとしたトイレ環境が整っていないとオシッコを我慢してしまい、膀胱内のオシッコの成分が濃くなってしまって結石が形成されやすくなるのです。
血尿や頻尿などは日常でもよく見る症状の1つです。
しかし、その症状の裏に隠れているのは単純な膀胱炎だけではないかもしれません。
今回のように膀胱内に結石ができていたり、膀胱や腎臓に腫瘍ができている可能性だってあります。
定期的に健康診断を受けることは病気の早期発見・早期予防につながります。
お家の子の小さな異変に気付けるのは、毎日一緒に暮らしている家族だけです。
「何か変だな」「いつもと違うな」ということがあれば、お気軽にご相談ください!