若山動物病院ブログ
緑内障
千葉県佐倉市の『若山動物病院』の千明です。
10月に入ってから右眼の調子が悪くなっていた病院犬ルーサー ▼・ᴥ・▼
実は『緑内障』を発症していたのです。
緑内障とは
眼の角膜と水晶体の間には「前房」という空間があり、その中には血液の代わりに栄養を届けたり眼球内の圧力を調整したりする「房水」と呼ばれる液体が循環しています。
房水は毛様体と呼ばれる部分で作られ、隅角と呼ばれる部分から眼の外に排出されます。
何らかの原因で房水の排出がうまくいかなくなって前房内に溜まってしまい、それにより眼球内の圧力(眼圧)が高くなって眼に痛みや視覚障害を引き起こしてしまう疾患が『緑内障』です。
眼圧が高い状態が続くと網膜・視神経が圧迫され、回復できないほどのダメージを受けると早くて1〜2日で視覚を失ってしまうこともあります。
緑内障の原因
緑内障は眼圧が高くなることでおこりますが、その発生原因は大きく2つに分けられます。
原発性
- 遺伝
- 先天的異常
- 特発性
続発性
- 外傷
- ウイルス感染
- 白内障
- ぶどう膜炎
- 糖尿病
- 高血圧
- 水晶体脱臼
- 網膜剥離
- 眼内腫瘍
- 眼内出血
症状
- 元気がない
- 食欲がない
- 白目が赤い
- 眼をショボショボさせている
- 眼をこする
- 涙が多い
- 眼の周囲を触られるのを嫌がる
- 黒目が大きい
- 眼が飛び出ている
- 眼が白っぽく濁る
- 物にぶつかる
治療方法
緑内障の治療には内科的治療と外科的治療があります。
内科的治療
主に点眼液での治療で視覚の回復と眼圧を下げることが目的です。
場合により眼圧下降作用のあるお薬を飲ませることもあります。
外科的治療
内科的治療による眼圧維持の限界や点眼液での治療に負担がある場合、または慢性緑内障により視覚を失ったため治療の終了もしくは疼痛緩和を目的とする場合におこなわれます。
手術の内容によっては専門病院での処置が必要になります。
緑内障は一度発症すると完治することが難しく、進行性の疾患であるため早期発見・早期治療がとても重要です。
残念ながら病院犬ルーサーは右眼の視覚を失ってしまいましたが、今は痛みもなく眼圧もコントロールできているため、点眼液での治療のみで今までと同じように毎日を過ごしています。
空気が乾燥する季節は眼のトラブルが増える季節でもあります。
いつもと違うなと気づいたら早めの受診をオススメしています。