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若山動物病院ブログ

歯石の下には…

千葉県佐倉市の『若山動物病院』の千明です。

今日は6歳の猫ちゃんの歯科処置がありました。
この子は数年前からお口に悩みがあるということで今年の10月に当院を受診。
歯科検診をおこなうと奥歯には歯石があり、歯肉は全体的に赤く腫れて一部では増殖も見られました。
歯周病菌も多く見られたため、まずは歯周病菌の数を減らすところから治療がスタート。

そして今日、歯科処置をおこなうことになりました。
全身麻酔をかけたらまずは歯石の下がどうなっているのかを確認するために歯石を取り外していきます。

吸収病巣


歯石を取り外してみると歯に大きな穴が開いていることがわかりました。

吸収病巣
青矢印が『吸収病巣』により歯が溶けて穴が開いてしまっている場所

これは『吸収病巣』と言われる猫ちゃんにとても多い歯科疾患の一つで、3歳以上の猫ちゃんの約50%が罹患しているとされています。

乳歯から永久歯に生え替わる際に、生え替わりをスムーズにするために乳歯の根が溶かされるようになっています。
乳歯を溶かすために働くのが「破歯細胞(はしさいぼう)」という細胞です。
吸収病巣では何らかの原因でこの破歯細胞が異常増殖してしまい、永久歯の根を溶かして顎の骨に吸収されてしまうのです。
破歯細胞が異常増殖してしまう原因ははっきりとわかっていないため、予防や進行を抑える有効な方法も見つかっていません。

また吸収病巣は歯の根元から症状が進行するため初期では見つかりづらく、症状が進行するにつれて痛みが激しくなるので口の中を見るのが難しくなり、さらに発見が遅れてしまいがちです。

吸収病巣による激しい痛みや口腔内の不快感は歯が完全に吸収されるまで続き、吸収病巣による痛みの解消には原因となっている歯を抜歯するのが一番だとされています。


痛みによる辛い時間を少しでも減らし多くの歯を残してあげるためにも、お家での適切なデンタルケアや定期的な歯科健診で早期発見・早期治療に繋げていきましょう。

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