若山動物病院ブログ
猫カリシウイルス感染症
千葉県佐倉市の『若山動物病院』の千明です。
最低気温が0℃以下になる日が増え、より寒さと空気の乾燥を感じるようになってきました。
空気が乾燥していると必然的に口腔内も乾燥しやすくなります。
また寒さで喉の渇きに鈍感になり飲水量が低下することで、さらに口腔内が乾燥しやすくなってしまいます。
口腔内の乾燥は歯周病菌を増殖させて活動が活発になることで歯周病が進行し、歯肉の腫れや炎症、痛みを悪化させます。
歯周病と似た症状で猫ちゃんが気をつけなければならない病気があります。
それが『猫カリシウイルス感染症』です。
猫カリシウイルス感染症とは
『猫カリシウイルス感染症』とは一般的に「猫風邪」と呼ばれている上部気道感染症の一つで、おもに感染猫との直接接触や飛沫により感染しますが、カリシウイルスは環境下での生存率が高いため間接的に感染する場合もあります。
症状
猫カリシウイルスはインフルエンザウイルスのように色々な型があり、どの型に感染するかで症状が異なります。
- 鼻水
- くしゃみ
- 流涙
- 結膜炎
- 充血
- 目脂
- 歯肉炎
- 口内炎
- 舌炎
- 流涎
- 咳
- 関節炎
- 発熱
- 元気消失
- 食欲不振
強毒全身性猫カリシウイルス感染症
1998年にアメリカで初めて報告された「強毒全身性猫カリシウイルス感染症」は致死率が50%以上と言われ、従来のものと比べて症状も重篤なものばかりです。
- 呼吸困難
- 皮下浮腫、潰瘍
- 肺炎
- 腸炎
- 黄疸
- 肝炎
- 膵炎
- 血液凝固異常
診断方法
当院では猫カリシウイルス感染症の診断には「PCR検査」をもちいています。
結膜と喉奥からサンプルを採取し、1週間ほどで結果が出ます。
猫カリシウイルス感染症の予防
ウイルスは目に見えないため、完璧な予防をおこなうことは困難です。
それでも感染の危険から猫ちゃんを守るためにはお家での管理が重要になります。
予防その1:完全室内飼育をする
屋外には猫カリシウイルス以外にも多くの感染症が存在します。
感染リスクを減らし、いつまでも元気で健康に過ごすためにも完全室内飼育が推奨されます。
予防その2:定期的にワクチン接種をする
猫カリシウイルス感染症にはワクチンがあり、3種以上の混合ワクチンに含まれています。
ワクチン接種をしたからといって感染しないというわけではありませんが、重症化を防ぐことに繋がるので定期的にワクチン接種をおこなうことが望ましいです。