若山動物病院ブログ
猫の鼻紋って?
猫の鼻には、ヒトの指紋と同じように個体ごとに異なる模様があります。
この模様は「鼻紋」と呼ばれ、世界に一つだけしかありません。
猫の鼻に模様があったなんて、しかも同じ模様が一つも無いなんてとても興味深いことだと思いませんか?
1.鼻紋とは何?
鼻紋とは、猫の鼻の表面に刻まれたシワや凹凸の模様のことです。
一見するとツルツルして見える猫の鼻ですが、近くでよく観察すると、細かい筋や模様があるのが分かります。
この模様は一匹一匹異なり、人間の指紋と同じように唯一無二です。
同じ模様を持つ猫は存在せず、鼻紋を利用すれば猫を個体識別することが可能です。
ちなみ鼻紋を持つ動物には、猫、犬、牛、馬などがいます。
しかも猫と同じように鼻紋は個体ごとに違い、その模様は生涯変わらないため個体識別ができます。
実際に牛では、鼻紋を利用した識別技術が活用されています!
2.鼻紋が作られる仕組み
鼻紋は皮膚の構造で作られますが、個体ごとに異なる模様が作られる仕組みを説明します。
🔳 遺伝子による
鼻紋の模様は、動物のDNAに含まれる遺伝情報によって決まります。
鼻の皮膚の表面には、遺伝的な指令に基づいてシワや凹凸が作られ鼻紋として現れます。
しかも遺伝的に似ていても同じ模様になることはなく、鼻紋は個体ごとに違うという特徴があります。
🔳 胎児期に作られる
鼻紋は胎児の段階で作られ始めます。
胎児の皮膚は柔らかく、外部や内部の影響を受けやすい状態にあります。
この柔らかな皮膚が羊水の中で胎児が動く際の微妙な圧力や刺激の影響から、鼻の表面にシワや凹凸を作り鼻紋となります。
胎児期に作られたシワや凹凸のパターンは誕生後に変化することはなく、一生維持されます。
🔳 一生変わらない
鼻紋が一生変わらないのは、その構造が非常に安定しており成長や外的要因で変形しにくいからです。
また真皮と表皮が強固にくっついているため、鼻紋のシワや凹凸は生涯固定されたままです。
また鼻の皮膚はとても丈夫で、傷を受けても模様自体が変わることはほとんどありません。
3.鼻紋を使った個体識別の可能性
犬や牛の鼻紋も、猫と同様に個体ごとに異なる模様があります。
そのため、すでに一部の地域では個体識別に活用されています。
ただ猫では鼻紋を利用した識別技術は普及していませんと言うか、しないのではと思っています。
4.鼻にまつわる話
🔳 鼻の湿り気
猫の鼻が湿っているのは、空気中の匂い分子をより効率的にキャッチするためです。
湿り気があることで嗅覚が鋭くなり、より敏感に匂いを感じ取ることができます。
🔳 鼻の色
猫の鼻の模様だけでなく、色にも個体差があります。
黒、ピンク、茶色など様々な色があり、被毛の色や遺伝によって決まります。
🔳 健康のバロメーター
鼻紋そのものは変化しませんが、鼻の状態は健康状態を反映することがあります。
健康な猫の鼻はシットリとして湿り気があります。
乾燥してカサカサしている場合や、鼻水が出ている場合は不調の可能性があります。
まとめ
猫の鼻には鼻紋と呼ばれる、個体ごとに異なる模様があります。
それはヒトの指紋と同じように、生涯変わらることがありません。
そのような猫の鼻の模様を、ジックリと見て下さいね!