若山動物病院ブログ
膀胱結石
膀胱結石が原因だった
頻尿やトイレでの異常な様子は、猫ちゃんによく見られる症状のひとつです。
こうした場合、多くの飼い主さんは「膀胱炎では?」と考えがちです。
しかし、その背後に思いもよらない原因が潜んでいることがあります。
今回は、膀胱結石が引き起こした症状と、その治療に至るまでの実例をご紹介します。
初期症状:頻尿と膀胱炎の仮診断
ある日、猫ちゃんが頻繁にトイレに行き、少量の尿しか出ていない様子が確認されました。
すぐに動物病院を受診したものの、膀胱内にほとんど尿が溜まっておらず、尿検査ができない状況でした。
そこで、膀胱炎と仮診断し、抗生剤を処方しました。
この段階では症状が一時的に良くなったものの再び症状が悪化し、今度は尿に血が混じるようになりました。
再診:膀胱結石の発見
再び動物病院を訪れた際、尿検査とエコー検査を実施したところ膀胱内に1cmくらいの結石が1個見つかりました。
膀胱結石は、尿中のミネラルが結晶化して固まったものです。
これが膀胱内で炎症を引き起こし、頻尿や血尿を招いていたのです。
幸い、この時点では猫ちゃんの食欲もあり元気な様子でした。
しかし結石が溶けるか、あるいは小さくなって自然に排出されるかを観察しながら治療を進める必要がありました。
急変:尿道閉塞の発症
数日後、猫ちゃんは急に食欲が減り、オシッコも良い状態では無くなりました。
膀胱内の結石が尿道に入り込んでしまったのです。
オシッコは出るものの、この状態が悪化すると非常に危険な「尿道閉塞」を起こしてしまいます。
尿道閉塞はオシッコが体外に排出されなくなるため、体内に毒素が溜溜まってしまう病気です。
そのため放置すると、短期間で命に関わります。
手術による治療
状態が悪化するのは目に見えてますから、手術が必要となります。

開腹して膀胱から結石を取り出しました。
手術後は尿の流れが回復し猫ちゃんの体調も徐々に改善です!
出るものが出ない、ただそれだけの事ですが生死に関わる危険な状態に陥ってしまうこともあります。
膀胱結石を防ぐために
膀胱結石は、猫ちゃんの尿路疾患の一つとして非常に多く見られる病気です。
これを予防するためには、次のようなケアが重要です。
適切な食事
結石の原因となるミネラル(ストルバイトやシュウ酸カルシウム)を調整できるフードを使用するのが効果的です。
十分な水分摂取
水を多く飲むことでオシッコが薄まり、結石ができにくくなります。
ウェットフードを与えるのも一つの方法です。
定期的な健康診断
早期発見のためには、定期的に尿検査やエコー検査を行うことが大切です。
まとめ
頻尿や血尿といった症状は、単なる膀胱炎では済まされないケースもあります。
特に膀胱結石や尿道閉塞は命に関わる可能性があるため、早期の診断と治療が重要です。
猫ちゃんの健康を守るため、日頃からトイレの様子を注意深く観察し何か気になることがあれば受診しましょう。