若山動物病院ブログ
3.おやつで躾は犬、猫のやる気スイッチって?

犬のしつけといえば「オヤツでごほうび」が定番ですよね。
「おすわり」「まて」「ふせ」など、できた瞬間にオヤツをあげると、うれしそうにしてくれます。
でも、猫には同じやり方は通じません。
「おやつを見せても動かな!」
「反応しても1回きり!」
猫じゃらしには反応しても、オヤツには無理!
一度は、そんな経験をしたことのある猫の飼い主さん、いらっしゃるのでは?

これは犬と猫の「ごほうびの感じ方」「やる気のスイッチ」の仕組みが違うからなんですよ!
犬は「ほめられる+食べられる」でやる気全開
犬は、とても社会的な動物です。
群れで行動し、リーダーに認められることに喜びを感じます。
だから飼い主さんに「いい子だね!」「よくできたね!」と声をかけられたり、オヤツをもらえたりすると、それだけで気分が上がります。
しかも犬は「これをやったらいいことがある!」という因果関係を学ぶのがとても得意なんです。
だからこそ「おすわりした → オヤツもらえた → もっとやろう!」という流れが自然と身につきます。
いわゆる「陽性強化トレーニング」は、犬の性格や脳の仕組みにピッタリなんですよ!

「陽性強化トレーニング」とは・・・
犬が“正しい行動をしたときに「ごほうび」を与えて、その行動を増やしていく方法です。叱るのではなく、望ましい行動に対して「いいことが起きる!」と学ばせるため、犬の性格にも優しく、楽しく学習できるのが特徴なんです。
猫は「自分のペースと気分」がすべて
猫は、「ヒトの期待に応えよう」という意識は、全くと言って良いほどありません。
猫にとって大事なのは、「今、自分がやりたいかどうか」なんです!
食べたい気分じゃなければオヤツにも反応しません。
また気が乗らなければ、一歩も動こうとはしません。
これはマイペースというよりは、自分の安全や快適さを優先する本能的な行動からなんです。
つまり猫には、犬のような「ごほうび = やる気のスイッチ」がハッキリとは存在しないんです。

じゃあ~。猫のしつけやコミュニケーションは不可能なのかと言うと・・
そんなことは、ありませんヨ!
猫の「やる気スイッチ」を入れるには?
猫には猫なりの、やる気ポイントがあります。
コツは「ごほうび」ではなく「好奇心」をくすぐることです。
オヤツはごほうびより、誘導アイテムとして使う
猫は「やればもらえる」より、「おいしそうなにおいだ、何だろう?」と近づいてきます。
「おいで」の練習などでは、オヤツを見せて動いてくれたら大成功!
新しい遊びや道具で、動きたくなる状況をつくる
おもちゃや高いところへのジャンプなど、「ついやっちゃう」環境をつくると、自然に動いてくれます。
褒めすぎない、期待しすぎない
猫はヒトのテンションには合わせられないので、「やったらラッキー」くらいの気持ちでOKです。
それぞれの「ごほうび」を知ろう
| 動物種 | ごほうびとしてうれしいもの | 学び方の特徴 |
| 犬 | おやつ・声かけ・スキンシップ | 人との関係性から学ぶ、反復に強い |
| 猫 | 自分の興味・におい・遊び | 状況判断が得意、自主性が高い |
この違いを知っておくと、しつけや接し方に無理がなくなります。

「うちの子、言うこと聞かないなぁ〜」ではなく
「この子のやる気スイッチはどこかな?」と探すことが、より良い関係への第一歩です。
まとめ
犬はごほうび、猫は気分で動く生き物です。
犬は人に認められること・オヤツをもらえることに強いモチベーションを感じます。
だからしつけがしやすく、学習も早いんです。
しかし猫は「ごほうびがもらえるからやる」というタイプではありません。
「やりたいときにやる」が基本スタイルです。
ごほうびの形は違っても、どちらも「嬉しい」「楽しい」を感じていることに変わりはありません。
その違いを理解して、お互いに心地よく暮らせる関係をつくっていけたら素敵ですね。

食べ方や味覚だけでなく、その奥にある気持ちにも目を向けてみましょう。
そして今日のごはんが、今までより少しだけ幸せな時間になうことを祈ってます。
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5回の連載だよ。
当たり前のような内容だけど、少しでも役に立てばと・・・思いまぁ〜す!
| タイトル | 内容の概要 | |
| 1 | 犬は“食べること”がごほうび、猫は“安心して食べる”が大事? | 本能や脳の仕組みに基づく食の価値観の違いについて、導入的に解説。 |
| 2 | 犬はどこでも食べられるが、猫は場所にこだわる? | 環境ストレスと猫の食欲の関係、犬との違い、食器や食事環境の工夫。 |
| 3 | オヤツで躾がうまくいくのは犬だけ?猫のやる気スイッチとは | 報酬の捉え方の違いから、猫に向いたごほうびや接し方を紹介。 |
| 4 | 犬と猫、味の好みはどう違う?『おいしい』の感じ方 | 味覚や嗅覚、食材の好みの違い。犬の爆食いと猫のグルメさの理由。 |
| 5 | ごはんの時間がもっと好きになる、犬猫別のごはん習慣 | 犬と猫それぞれに合ったごはん時間の整え方と工夫 |