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若山動物病院ブログ

折れちゃった

千葉県佐倉市の『若山動物病院』の千明です。

今日は過去に歯が折れてしまった子の歯科処置がありました。

犬の破折
赤丸:過去に歯が折れてしまった部分

何らかの原因で歯が折れたり割れたりしてしまうことを『破折(はせつ)』と言います。
破折は多くの場合、痛みを伴い、放置すると感染症や健康上の深刻な問題を引き起こす恐れがあります。
歯の内部には神経や血管が集まっている「歯髄(しずい)」という重要な組織があり、破折によって歯髄が露出すると、口腔内の細菌が入り込み、歯髄炎(しずいえん)という炎症を起こすことがあります。
さらに症状が進行すると、細菌が血管を通じて全身に広がり、心臓・腎臓・肝臓などの臓器に障害を与える可能性もあるため注意が必要です。


破折の主な原因は、硬いものを噛むことによる歯への過度な負担です。

犬の破折
赤矢印:鹿の角を噛んで破折した歯

犬が夢中になって噛んでしまう硬すぎるおもちゃや鹿の角、アキレス、ヒヅメなどは、歯に大きな負担をかけてしまい、歯が欠けたり割れたりする原因になります。
破折は目に見える場所で起こることもありますが、破折した部分には歯石がつきやすくなるため、状態が隠れて発見が遅れることもあります。
さらに、歯肉の中に埋まっている歯の根元で破折が起きている場合は、外からは見えないため気付かれないことも多いです。


破折は、特に犬歯や第四前臼歯に多く見られます。
これらの歯はどちらも噛む力が強くかかる部位のため、強い衝撃や過度な負荷が加わると破折しやすいとされています。

犬の歯
赤丸:犬歯   赤矢印:第四前臼歯


破折で歯を失わないようにするには「硬すぎるものを与えない」ことが一番。
与える目安は文房具のハサミで切れるかどうか、指で曲げられるかどうかです。
噛むことが大好きな子には、その子の噛む力に合ったサイズと硬さの物を選び、時間を区切って与えるなどして工夫してあげることが大切です。

口腔内の健康は全身へ影響を与えるとても重要なものです。
定期的に歯科検診を受けてお家の子の口腔内を把握するとともに、適切なケアおこなって健康を守りましょう。

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