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猫の無臭美学

猫の無臭美学

猫と暮らしていると、多くのヒトがこう感じます。
「猫って、まったく臭くないよね」と・・・

実はこれ単なる印象ではなく、生理学・行動学・進化のどれをとっても科学的な理由があるんです。
今回は猫の「無臭」とも言える体の秘密についてです。

1. 汗をかかない猫の皮膚構造

ヒトは体温の調節のため暑い時には全身に汗をかきますが、猫は違います。
猫の汗腺(エクリン腺)は足裏(肉球)にしかなく、体全体から汗はかきません。
またヒトや犬の体臭の元になる「アポクリン腺」という「ニオイ汗腺」は、猫にもあります。
しかし汗の分泌量がとっても少なく、また自ら毛づくろいで舐め取るためニオイが残りません。

毛づくろいで常に清潔に

猫はとてもきれい好きな動物です。
起きている間、結構な時間を毛づくろいに費やすとされいます。

この習慣により、皮脂・汚れ・臭いの原因となるモノを物理的に取り除いていしまうのです。
つまり猫は「自分の体を自分で無臭に保っている」セルフケアの達人とも言える動物なんです。

においを隠す進化の知恵

猫は、もともと待ち伏せ型のハンターです。
獲物に自分の存在を気づかれないよう、音もニオイも最小限にするような進化を遂げました。

また猫は自分のウンチやオシッコにも砂をかけて隠します。
これもニオイで敵に見つからないための防御本能です。
このようなニオイを抑えることは、生き抜くために重要なスキルだったんです。

4. 他の動物と比べても「圧倒的に無臭」

犬は体臭が強めな動物です。
これは全身にあるアポクリン腺のためで、皮脂も豊富で洗わないと犬臭さが出ます。

一方、猫は皮脂が少なくシャンプーをせずともほぼ無臭です。
またヒトとも違い、加齢臭もありません。

猫が「わたあめの香りがする」「日向のにおいがする」とも言われることがあります。
これは、ほのかな皮脂や陽の光に温められた毛の香りによるものです。
猫はニオイが無いことが美とも言える、動物なんでしょうね。

猫の体臭の強さを数値で例えると?

動物の体臭を強さ主観的なイメージで比較すると、次のような感じになります。

動物種ニオイの強さニオイのイメージ
🟢 1~2 ほぼ無臭で鼻を近づけないと分からない程度
ウサギ🟡 3~4 普段はほぼ無臭だが、排泄臭が強めになることも
ヒト🟡 4~5清潔な人で普段は控えめだが、汗や加齢臭あり
🟠 6~7シャンプーしないと明確に「犬臭い」と感じる
フェレット🔴 7~8特徴的なムスク臭があり、強めに感じられる
0:完全無臭、10:非常に強いニオイ

他の動物のような「獣臭」がないのが猫なんです!
とにかく「圧倒的に無臭」で「無臭レベル」は他の動物と比べてても、その違いがわかります。
ヒトの日常生活で感じるニオイの中で最も弱い部類に入ります。
猫は『体臭と言うか、ニオイがないことが魅力になっている』 というのが特徴です。
「無臭美学」とでも言うのでしょうか・・・

まとめ

猫の体臭が少ないのは、以下の3つが揃っているからです。

  • 汗をかかない体の構造
  • 徹底した毛づくろい習性
  • ニオイを隠す生存戦略

私たちが感じる「猫の清潔感」は、彼らの本能と日々の努力の賜物です。
猫はただの無臭ではなく、「ニオイが無いことで魅せる」動物なんです。
そんな美学を体現しているのですが、これは猫の生き方そのものなんでしょうね。