若山動物病院ブログ
コンパス・ランとは?
犬が何百キロもの先から家に帰ってきたという話を聞いたことがありますよね?
あの鉄腕DASHでも、飼われている犬が見知らぬ場所から自宅まで帰ることができるのかを検証したことがあります。

それって帰巣本能だよ!
ニオイや地形など嗅覚や視覚的な手がかりを頼りにして、家に帰ることが出来るんじゃないの?
しかし視覚や嗅覚だけでは帰ることが出来ないような場所からでも、帰れることがあります。
自分の位置情報が得られないような場所から、どうやって帰ることができるのでしょうか?

それは犬は地磁気を利用して、帰る方向を決めることができるからなんだよ!
その時に「コンパス・ラン」ってのを、やることがあるのね・・・
じゃ「コンパス・ラン」についての話するね。
「コンパス・ラン」とは・・・
犬が見知らぬ場所から帰宅する際に、まず最初に南北方向にまっすぐ20メートルほど走る行動を指します。
この行動は、チェコの研究者チームが狩猟犬を対象に行ったGPS追跡実験により発見されました。
研究内容の概要

研究者たちは、どのような方法を取ったかというと・・・
犬たちを、森の中を自由に走り回らせました。
飼い主さんから離れた犬たちは、その後飼い主さんの居る場所に戻らなくてはなりません。
戻るためには、犬たちは飼い主さんのいる場所までのルートを探す必要があります。
帰るために犬がとった行動には、二つのパターンがあったそうです。
- 来た時と同じルートで帰る「追跡型」
- 全く違うルートで、なるべく短い距離で帰る「ショートカット型」
このシ「ショートカット型」を選んだ犬は、必ずといっていいほど「コンパス・ラン」と呼ばれる行動をとったと言うのです。
この行動には、最初に必ず南北に向かって走るという特徴がありました。
そしてこのような行動を行う理由には、自分の持つ方角の感覚を磁場によって校正しているのではと考えられたのです。

なぜ「コンパス・ラン」をするのか?

この現象の解釈として、研究者らは次のように考えたってことらしいですよ!
犬は南北軸に沿ってまっすぐ走ることで、地磁気コンパスと脳内の地図と言われる空間記憶を同期させている。
その結果、今いる場所と帰るべき方向を探しているのではないか。
つまり犬はGPSがなくても「地球の磁場」を使って、現在地を確認しているのです。
そして帰るべき方向を決めている、そんな可能性があるということなんです。
このように「コンパス・ラン」は、帰巣本能の際に起動するナビゲーションのようなこととも言えます。
犬が持つ高度な帰巣能力は単なる本能ではなく「地球の磁場」という、見えない道しるべを使用したものだったのです。

そうなんです!
実に我々は「地球の地磁気を読む」ことのできる、動物だったのです!
そうそう「コンパス・ラン=帰巣本能を支える見えない地図アプリ」みたいなものなんだよ!
すごいでしょ??
この「地球の磁場」を利用したナビゲーション能力は、渡り鳥や海亀でも知られています。