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若山動物病院ブログ

猫の驚異のエアライト反射

エアライト反射

猫ちゃんが高い場所から落ちても、クルリとカラダを捻り回転させ足から着地する姿を見たことはありませんか?
まるで忍者のような動きは「エアライト反射ト」と呼ばれ、猫だけが持つ特別な運動能力です。
そんな「エアライト反射」の仕組みと秘密を、紹介します。

エアライト反射ってなに?

エアライト反射とは空中で体をひねり、足から安全に着地する本能的な動作のことです。
そうなんですよ・・・
猫は高い所から落ちたとき、たとえ頭が下になっていても空中でくるりと回転し、4本の足を地面に向けて体勢を整え着地しようとします。

このパワーは、生後3週目ごろから発達し始めるんだよ!
そして6~7週目には、もうほぼ出来上がると言われてるんだ。

驚異的な「バランスセンサー」を持ってる

この反射を可能にしているのが、前庭(ぜんてい)と呼ばれる内耳のバランス感覚器官です。
猫の前庭は非常に発達しており、自分の頭や体がどちらに向いているかを即座に察知できます。

空中で回転を始める瞬間、まず頭の向きを固定し、そのあと首・背中・腰・脚と順にひねっていきます。
そして頭を起点にして、カラダ全体を回転させて本来の正しい姿勢にします。

カラダを空中で分割して動かしているかのような感じです。
これって猫の持つ神業だよね!

カラダが柔らかいからこそできる技

猫の体には約240本以上の骨があり、特に背骨や肩の周辺はとても柔軟です。
背骨は椎骨と椎体の間隔が広く、カラダを左右に捻る回旋運動にも優れています。

また肩甲骨が胸骨と固定されておらず、筋肉だけで支えられている構造をしています。
前足の自由度が非常〜に高く、着地の瞬間に足を正確に出すことも可能となっています。

まぁ〜カラダをクルッと捻る動きが、とってもスムーズなんだよね!

着地の衝撃をやわらげる工夫も!

エアライト反射で足から着地できても、落下の衝撃は無視できません。
そこで活躍するのが「猫の脚のクッション性」と「姿勢制御能力」です。

猫は着地時に関節を深く曲げて衝撃を分散させ、かつ肉球で衝撃を吸収します。
また着地する直前には尻尾でバランスをとりながら姿勢を調整し、ケガのリスクを減らしています。

どのくらいの高さなら大丈夫?

1m以下の高さでは、エアライト反射が働く前に着地してしまうことがあります。
そのためケガをするリスクが高くなります。

一方で2~3m程度の高さであれば反射が働き始め、着地姿勢を整える時間がとれます。
これを「キャット・パラドックス(猫の矛盾)」と呼ぶこともあります。

でもどんな高さでも安全じゃ無いよ!
骨折や内臓損傷のリスクもあります。
特に高齢になると骨がもろく関節の柔軟性も落ちてしまうので、やっぱり注意が必要だよね!

エアライト反射は進化から

この不思議な能力も、もともとは野生で生き抜くための進化の過程で得たものです。
木の上で獲物を狙ったり生活をしていた猫たちは、落下事故がから命を落とすわけにはいきませんでした。
そのため、高いところから『落ちても生き延びる能力=エアライト反射』が発達したのです。

そんな能力は今の猫にも、しっかり受け継がれているんだよね。
でも〜中にはトロイのもいちゃったりして・・・

まとめ

猫ちゃんが見せる、落ちても怪我をしない不思議な神技的能力。
それは生まれながらに備わった、高度な反射神経と骨格の構造、筋肉制御の総合的な能力なのです。

とはいえ「猫は高いところから落ちても平気」というのは神話のようなものです!
やはり安全な環境づくりと、滑り止め対策は忘れずに・・ですよ。