若山動物病院ブログ
身近な出会い
千葉県佐倉市の『若山動物病院』の千明です。
関東も「いよいよ梅雨明けか?」と思いきや、雷が鳴ったり激しい雨が降ったりと、なんともグチャグチャなお天気が続きましたね。
最新の予報では、梅雨明けは23日頃になりそうです。
ただ、梅雨明け直後は1年の中でも特に気温が高くなりやすく、熱中症のリスクがぐっと上がる時期。
最新の1か月予報によると、関東の平均気温はお盆にかけて平年より高めになる見込みです。
暑さ対策を万全にして、体調を崩さないよう、どうぞ気をつけてお過ごしくださいね。
そんな中、診察にやってきた、とある猫ちゃん。
状態を確認するために、身体をそっと触っていたところ…
横に転がした瞬間、「ボトッ」という音とともに、何やら黒い物体が落ちてきました。
よく見ると、それは血を吸ってパンパンに膨れた「マダニ」

スタッフも飼い主さんも思わず「えっ!?」とビックリ。
まさかマダニがついていたなんて…
というのも、その猫ちゃんは普段まったく外に出ない完全室内飼い。
お外でマダニをもらってくるような心当たりはないはずなのです。
念のため、飼い主さんにお話を伺ってみると、
「そういえば、少し前にほんの5分だけ脱走してしまったことがありました」とのこと。
たった5分間の脱走のあいだに、マダニが体に付着し、そのままおうちへ連れて帰ってきてしまったのでしょう。
マダニは、ただ血を吸うだけでなく、「SFTS(重症熱性血小板減少症候群)」という命に関わる感染症を媒介することがある恐ろしい寄生虫です。
この病気は、SFTSのウイルスを持つマダニに咬まれることで感染するだけでなく、感染した動物の血液や唾液などの体液を通じて、他の動物や人にもうつることがわかっています。
中でも猫ちゃんはSFTSに対する感受性が非常に高く、重症化しやすいとされており、致死率は67%という報告もあります。
実際、全国でSFTSに感染した猫の報告数は、2017年にはわずか8件だったのが、2024年には194件と急増しています。
また、人の致死率は約30%、ワンちゃんでは約43%とされており、動物だけでなく私たち人間にとっても深刻な病気です。
大切な家族を守るためにも、定期的な予防薬の投与、猫ちゃんは完全室内飼育の徹底を心がけ、しっかりと対策をしていきましょう。