若山動物病院ブログ
猫がビニールを食べる!?
「うちの子、ビニールを食べちゃうのよ!?」
「あらぁ〜うちの子は布やヒモを齧っちゃうの・・・」
そんな様子を見たことありますね?
そんなときに「うちの子、ちょっと変わってる?」とも、思ったりしませんか?
実はそれ、「ピカ症(異嗜症)」と呼ばれる行動の一つかもしれません。
ピカ症とは、本来食べ物ではないものを繰り返し口にしてしまう異常行動のことです。
そのまま放っておくと、誤飲や腸閉塞といった重大なトラブルにもつながる可能性があるため早めの対応が大切です。
どんな行動がピカ症?
ピカ症の猫に見られる行動はさまざまです。
- 布や毛布をしゃぶる・食べる
- ビニール袋やひもをかじる・飲み込む
- 紙や段ボール、スポンジを食べようとする
- 猫砂を食べる
とくに留守番中や飼い主さんの目を離したすきに、こうした行動が目立つことがあります。

原因は?なぜそんなものを食べちゃうの?
ピカ症の原因は1つではなく、いくつかの要因が重なって起きることが多いといわれています。
ストレスや退屈
引っ越し、模様替え、多頭飼いのストレス、遊び不足など
栄養不足や消化器の異常
ビタミンやミネラルの欠乏、寄生虫感染などが原因になることも
遺伝的要因や子猫の頃の経験
シャムやバーミーズなどで多く、離乳前に親猫と離れた子にも多い
常同行動(クセのようにやめられない)
一度始まると習慣になり、なかなかやめられなくなることがあります
家庭でできる対策は?
猫が異物を食べないようにするためには、まず環境づくりが大切です。
- 危険なもの(ビニール・ひも・スポンジなど)は片付ける
- 遊び時間を増やし、ストレスを発散させる
- キャットタワーや隠れ場所を用意し、安心できる空間をつくる
- 叱らず冷静に対応する、叱ると逆に悪化することも・・・
また「うちの子、ちょっとお腹すいてるのかも?」と思ったら、フードの量や質を見直すのも一つの方法です。
空腹感や栄養不足が背景にある場合、改善されることがあります。

治療はどうする?
症状が続くようなら、診察をおすすめします。
血液検査や便検査などを行い、栄養状態や隠れた病気がないかを確認します。
原因によっては、以下のような治療が必要になることもあります。
- 栄養補助や食事療法
- 駆虫薬や整腸剤の投与
- 抗不安薬や行動修正のための治療
また重度のピカ症では「動物行動学の専門医と連携」して、行動療法を行うこともあります。
こんな時はすぐ動物病院へ!
ピカ症の怖いところは「誤飲による腸閉塞」です。
- 嘔吐を繰り返す
- 元気がなく、食欲もない
- 排便がない or 血便が出ている
- 何かを飲み込んだ痕跡がある
このような様子が見られたら、すぐに動物病院へ!
早期なら内科治療で済むこともありますが、放っておくと手術が必要になることもあります。
まとめ
ピカ症は「ちょっと変わったクセ」ではなく、心と体のSOSサインであることもあります。
猫ちゃんの安全のためにも、早めの気づきと優しい対応でサポートしてあげましょうね。
遺物を食べる行動に気づいたら、叱るよりも「どうしてそうしているのかな?」と、原因を探ってあげてください。