若山動物病院ブログ
磁気と電波で見る
病院で「MRI」検査と言うのを聞いたこと、一度はありますよね?
大きな音のなるトンネル型の装置の中に入って検査する、あれです。
私は狭いところが苦手なので、できれば受けたく無いのがMRI検査なんです。
MRIってどんな検査?
MRIは、正式には**Magnetic Resonance Imaging(磁気共鳴画像)といい、日本語では「磁気共鳴断層撮影」とも呼ばれます。
一言で言うと、体の中を「輪切り」にして映し出す画像検査の一つです。

似たような検査に「CT」がありますが、大きな違いはMRIは放射線を使わないことです。
つまり被ばくの心配がなく、カラダにやさしい検査なのです。
どうやって体の中が見えるの?
MRIは、強力な磁石と電波を使って、体の中の「水の動き」を映し出す仕組みです。
私たちの体は60%以上が水でできています。
この水に含まれる「水素原子」の動きに注目し、次のようなステップで画像を作ります。
大きなトンネル型の装置に強力な磁場を発生させて、
1. ある周波数の電波を照射しカラダの組織の中の水素原子を移動させる
2. 照射を止めるとカラダの組織の水素原子が元の位置に戻ろうとする
3. 戻ろうとする水素原子の動きを画像として映し出す

なんか難しくて解りづらいですが・・・
要するに磁石と電波で「体内の水分の分布を見る」ことができる装置なのです。
MRIは何が得意?
MRIは、脳・脊髄・内臓・筋肉・関節など、やわらかい組織の観察がとても得意です。
たとえば・・・
脳の腫瘍や出血、脳梗塞
椎間板ヘルニアや神経の圧迫
関節の炎症や靭帯の断裂
子宮や卵巣、前立腺などの病変
検査ってどんな感じ?
MRI検査は、細長いトンネルのような装置の中に横になって撮影します。
撮影中は「ガンガン」「ゴンゴン」と大きな音が鳴ります。
しかも撮影時間はチョット長く、部位にもよりますが20~40分程度かかります。

あの大きな音が聞こえないように、ヒトは耳栓などで音が聞こえないようにするよね!?
しかし犬猫は耳栓ができないのね。
だから検査に時間がかかるので動かないようにするために、全身麻酔をするんだよ!
CTとの違いは?
項目 | MRI(磁気共鳴画像) | CT(コンピューター断層撮影) |
使うもの | 強い磁石と電波 | X線(放射線) |
放射線 | ❌ 使用しない(被ばくなし) | ⭕️ 使用する(被ばくあり) |
特徴 | やわらかい組織がくっきり映る | 硬い組織や出血を素早く確認できる |
得意部位 | 脳,脊髄,関節,筋肉,子宮,前立腺など | 骨,肺,出血,腹部臓器,急性外傷など |
用途 | 脳腫瘍,椎間板ヘルニア,靭帯,内臓腫瘍など | 脳出血,骨折,肺炎,肝臓•腎臓•膵臓の評価など |
検査時間 | 比較的長い | 短時間(数分で終了) |
動き | 苦手(動くと画像がぶれる) | やや強い(短時間で撮れるため) |

MRIは安全に、しかも詳しくカラダの中を調べられる検査として使われています。
最後に
MRIは「音ではなく磁気と電波で体の中を見る」ちょっと未来的な検査です。
怖いイメージがあるかもしれませんが、実はとても安全で体にやさしい技術なのです。
病気の早期発見や、原因のはっきりしない症状の診断にも役立ちます。